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第一章 転生
第04話 極限の生活
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──方向感覚もない森を彷徨い、何日も歩いた。
流石に疲労も溜まる。幾ら魔物の驚異が減ったとは言え、やはり森での生活はそれなりにキツい。そう言えば、この世界に来てからという物、禄な暮らしをしていない様な気がする。
「少し慎重になり過ぎたか……」
もう少し体力に余裕がある内に、森を出るのが正解だったのかも知れない。固有能力の検証、そして、その修行に時間をかけ過ぎた。俺の体力はもう、度重なるストレスと疲労で限界に来ている。
「少し休もう……」
大きめの樹の根に腰を下ろし、俺は束の間の休息を取る事にした。それでも神経は、いつ魔物に襲われてもいい様に張り詰めている。もう、こんな生活をどれくらい続けているのかわからない。そんな中、薄く目を閉じた俺の耳に、心地よい音が微かに聞こえた。これは、沢……水の音。
近くに川がある!
水!
何十日も口にしていない、水の音! 偶然見つけた水分を含む木の実だけで、喉を潤して耐えてきた。しかしここ何日は、それすらも満足に摂れていない。夢にまで見始めた、水。俺は疲れを忘れ、高揚を抑えきれずに音のする方へ走り出した。暫く走り、その音が次第に大きくなる。そして、ハッキリと聞き取れる距離に差し掛かった時、目の前にそれは現れた。
清流。
川底が見える程に澄んだ水が、すぐそこにある。俺は夢中で飛び込んだ。足元を流れる水を両手で掬い、口に運ぶ。美味い。飲めるかどうかなんて、どうでもいい。こんなに美味いのだから大丈夫に決まってる。何度も水を掬い上げ、喉を潤す。生き返る。顔を洗う。何度も何度も浴びる様に。
そして俺は、遂に全身をその流れに預けた。腰程までしかないその清流に、身を任せる。体にこびり付いた返り血が、疲れと共に洗い流されて行く感覚。
「うおぉぉ……生き返るぅ!」
心から漏れ出した様な叫びを上げ、俺は暫く身を預けた。雲一つない快晴の空が眩しい。目を細め、ボーっとそれを眺める。暫くそうしていると、余裕の無くなっていた自分に気付いた。少し冴えて来た頭で、これからの事を考える。
「闇雲に歩いていたら、そりゃ迷うよな……こんなデカい森。でも、この川を下ればいずれ、この森は出れるだろ。そしたらまずは、この世界の人間……町を探そう」
目的を再確認し、言葉にする。この世界に来て、色々考え過ぎていた頭を整理した。その矢先、今度は予期せぬ物が聞こえて来た。『音』では無い、明らかに『人の声』。俺はそのままの体勢で、流れに身を任せながら耳を澄ませた。
「──おい、見ろ! あの流れてる黒いの、人間じゃねーのか!」
流石に疲労も溜まる。幾ら魔物の驚異が減ったとは言え、やはり森での生活はそれなりにキツい。そう言えば、この世界に来てからという物、禄な暮らしをしていない様な気がする。
「少し慎重になり過ぎたか……」
もう少し体力に余裕がある内に、森を出るのが正解だったのかも知れない。固有能力の検証、そして、その修行に時間をかけ過ぎた。俺の体力はもう、度重なるストレスと疲労で限界に来ている。
「少し休もう……」
大きめの樹の根に腰を下ろし、俺は束の間の休息を取る事にした。それでも神経は、いつ魔物に襲われてもいい様に張り詰めている。もう、こんな生活をどれくらい続けているのかわからない。そんな中、薄く目を閉じた俺の耳に、心地よい音が微かに聞こえた。これは、沢……水の音。
近くに川がある!
水!
何十日も口にしていない、水の音! 偶然見つけた水分を含む木の実だけで、喉を潤して耐えてきた。しかしここ何日は、それすらも満足に摂れていない。夢にまで見始めた、水。俺は疲れを忘れ、高揚を抑えきれずに音のする方へ走り出した。暫く走り、その音が次第に大きくなる。そして、ハッキリと聞き取れる距離に差し掛かった時、目の前にそれは現れた。
清流。
川底が見える程に澄んだ水が、すぐそこにある。俺は夢中で飛び込んだ。足元を流れる水を両手で掬い、口に運ぶ。美味い。飲めるかどうかなんて、どうでもいい。こんなに美味いのだから大丈夫に決まってる。何度も水を掬い上げ、喉を潤す。生き返る。顔を洗う。何度も何度も浴びる様に。
そして俺は、遂に全身をその流れに預けた。腰程までしかないその清流に、身を任せる。体にこびり付いた返り血が、疲れと共に洗い流されて行く感覚。
「うおぉぉ……生き返るぅ!」
心から漏れ出した様な叫びを上げ、俺は暫く身を預けた。雲一つない快晴の空が眩しい。目を細め、ボーっとそれを眺める。暫くそうしていると、余裕の無くなっていた自分に気付いた。少し冴えて来た頭で、これからの事を考える。
「闇雲に歩いていたら、そりゃ迷うよな……こんなデカい森。でも、この川を下ればいずれ、この森は出れるだろ。そしたらまずは、この世界の人間……町を探そう」
目的を再確認し、言葉にする。この世界に来て、色々考え過ぎていた頭を整理した。その矢先、今度は予期せぬ物が聞こえて来た。『音』では無い、明らかに『人の声』。俺はそのままの体勢で、流れに身を任せながら耳を澄ませた。
「──おい、見ろ! あの流れてる黒いの、人間じゃねーのか!」
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