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第一章 転生
第09話 混血
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「──あ、貴方……混血なの?」
驚きの表情で聞いて来る、アスカ。
混血?
一体、何の事だ? さっぱりわからない。この世界では、常識の知識なのだろうか。やはり、記憶を失くしているという事にしておいて良かった。遠慮なく、その辺りの話を尋ねられる。
「混血って一体、何の事だ? この紋様に何か関係あるのか?」
「記憶……無いのね……」
思い出して冷静になったのか、少し悲しそうにアスカは言った。少しだけ沈黙か流れ、アスカが再び口を開く。
「……説明する。ついて来て」
そう言ってアスカは歩き出した。無言で俺もついて行く。向かった先は小さな小屋、アスカの暮らす家だった。
「……入って」
短く促され、家に入る。木板で囲まれただけの簡素な小屋。隙間だらけの壁板から、暮れかけた夕日が射し込んでいる。部屋の真ん中に置かれた丸テーブルを挟み、二つある椅子に対面で座る。アスカはそれを見て、小さく息を吐いた。
「……混血。それは、異種族間に出来た子供」
相変わらずシンプルな説明。俺は、その言葉から情報を推理する。
異種族……つまり、異なる種族。確か神の話では、この世界の種族は大きく分けて三つ。
人間。
亜人。
そして、魔族。
確か、この三種族だ。亜人や魔族は、更に細かく種族が分かれているらしい。
そして、この種族の垣根を越えて産まれてきた子供。文字通り、異種族の間に出来た子供。それが、混血。ここまでは容易に理解出来る。
「この紋様との関係は?」
俺も、要点だけを尋ねた。
「純血は……星の形。混血は……紋様」
短く、答えだけを言葉にするアスカ。だが、要点を捉えているので、十分わかる。
つまり、純血……同じ種族同士の間に出来た子供には星。異種族の間に出来た子供には紋様。この世界では、そんな法則で、タトゥーの様な物が刻まれているのだろう。おそらく、産まれた時から。
「ここまでは理解した……と思う。でも、アスカは何故、そんなに驚いてるんだ?」
混血ってそんなに珍しいのか? いや、そもそも俺のこの体、混血なのか? 自分の体の事なのに、俺は何も知らない。その辺の話、もう少し詳しく神に聞いておけば良かった。そんな事を考えていると、アスカが俺の問いに答えた。
「混血は、忌み子。……悪魔の子。災いを齎すと言われている。だから……嫌われる」
苦しそうに、悲しそうに話すアスカ。なるほど……混血はこの世界で嫌われているのか。だから、言い難かったのかも知れない。
「なるほどな……つまり、俺は忌み子。災いを齎す悪魔の子だから、あんなに驚いていたという訳か」
気不味い空気を振り払う様に、俺はわざと明るく答えた。何も気にして無いと言う素振りで。
確かに、災いを齎すとかいう悪魔の子が、自分の近くにいたら驚くだろう。この世界では、こういう迷信が根強いのかも知れない。少し寂しいが、この村には、長居しない方が良さそうだ。しかし、そんな俺の考えをアスカが見透かす。
「──違う!」
いつに無く、ハッキリと。短いが強い口調で、アスカは俺の言葉を否定した。
怒りに近い、そんな感情が見え隠れする。無表情なアスカが目に涙を浮かべ、訴えかける様に俺を見つめる。
そして、無言でシャツを開けると、自らの肩口を顕にした。そこから覗き見える白い肌に、俺は、自分と同じ様な紋様を見つける。
「──私も……混血。忌み子なの」
驚きの表情で聞いて来る、アスカ。
混血?
一体、何の事だ? さっぱりわからない。この世界では、常識の知識なのだろうか。やはり、記憶を失くしているという事にしておいて良かった。遠慮なく、その辺りの話を尋ねられる。
「混血って一体、何の事だ? この紋様に何か関係あるのか?」
「記憶……無いのね……」
思い出して冷静になったのか、少し悲しそうにアスカは言った。少しだけ沈黙か流れ、アスカが再び口を開く。
「……説明する。ついて来て」
そう言ってアスカは歩き出した。無言で俺もついて行く。向かった先は小さな小屋、アスカの暮らす家だった。
「……入って」
短く促され、家に入る。木板で囲まれただけの簡素な小屋。隙間だらけの壁板から、暮れかけた夕日が射し込んでいる。部屋の真ん中に置かれた丸テーブルを挟み、二つある椅子に対面で座る。アスカはそれを見て、小さく息を吐いた。
「……混血。それは、異種族間に出来た子供」
相変わらずシンプルな説明。俺は、その言葉から情報を推理する。
異種族……つまり、異なる種族。確か神の話では、この世界の種族は大きく分けて三つ。
人間。
亜人。
そして、魔族。
確か、この三種族だ。亜人や魔族は、更に細かく種族が分かれているらしい。
そして、この種族の垣根を越えて産まれてきた子供。文字通り、異種族の間に出来た子供。それが、混血。ここまでは容易に理解出来る。
「この紋様との関係は?」
俺も、要点だけを尋ねた。
「純血は……星の形。混血は……紋様」
短く、答えだけを言葉にするアスカ。だが、要点を捉えているので、十分わかる。
つまり、純血……同じ種族同士の間に出来た子供には星。異種族の間に出来た子供には紋様。この世界では、そんな法則で、タトゥーの様な物が刻まれているのだろう。おそらく、産まれた時から。
「ここまでは理解した……と思う。でも、アスカは何故、そんなに驚いてるんだ?」
混血ってそんなに珍しいのか? いや、そもそも俺のこの体、混血なのか? 自分の体の事なのに、俺は何も知らない。その辺の話、もう少し詳しく神に聞いておけば良かった。そんな事を考えていると、アスカが俺の問いに答えた。
「混血は、忌み子。……悪魔の子。災いを齎すと言われている。だから……嫌われる」
苦しそうに、悲しそうに話すアスカ。なるほど……混血はこの世界で嫌われているのか。だから、言い難かったのかも知れない。
「なるほどな……つまり、俺は忌み子。災いを齎す悪魔の子だから、あんなに驚いていたという訳か」
気不味い空気を振り払う様に、俺はわざと明るく答えた。何も気にして無いと言う素振りで。
確かに、災いを齎すとかいう悪魔の子が、自分の近くにいたら驚くだろう。この世界では、こういう迷信が根強いのかも知れない。少し寂しいが、この村には、長居しない方が良さそうだ。しかし、そんな俺の考えをアスカが見透かす。
「──違う!」
いつに無く、ハッキリと。短いが強い口調で、アスカは俺の言葉を否定した。
怒りに近い、そんな感情が見え隠れする。無表情なアスカが目に涙を浮かべ、訴えかける様に俺を見つめる。
そして、無言でシャツを開けると、自らの肩口を顕にした。そこから覗き見える白い肌に、俺は、自分と同じ様な紋様を見つける。
「──私も……混血。忌み子なの」
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