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第一章 転生
第15話 決意
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「──そうだったのか」
俺は、全てを理解した。
上手く言葉に出来ない。アスカの説明を聞き、何とも言えない重い空気が俺達を包んだ。一通りの話を終え、アスカは、再び俺の横に腰を掛ける。俺は、彼女にかける言葉を見つけられないでいた。
混血は忌み子、悪魔の子。アスカは初め、俺にそう説明した。だが、実際は微妙に違うらしい。忌み子として怖れられる、混血の子供。独自の紋様を体に宿し、固有能力等の強力な才能を持って生まれてくる。
だが、その中でも特に怖れ、忌み嫌われている存在が、『光る瞳』を持つ忌み子。それが、『悪魔の子』。その才能は忌み子の比では無く、最早、伝説的な存在でもあるらしい。勿論、悪い意味でだが。後に、魔王や悪魔になると言う、そんな迷信まである様だ。
「村長……おじいちゃんは、そんな私を匿ってくれていたの」
気まずい雰囲気を察したのか、アスカが沈黙を破った。村長……つまり、アンクの事だ。
幼少時、『悪魔の子』である事が発覚したアスカは、村を追われた。元々、孤児だったアスカに身寄りは無い。幼いアスカは身一つで村を追い出され、瀕死で荒野を彷徨っていたらしい。
それを見つけ、保護したのがあの村の連中だ。自分達も差別を受け、虐げられていた彼等は、アスカの瞳を見ても彼女を見捨てなかった。それどころか、その境遇に同情までしたらしい。同じ、不遇な環境に身を置く者にとって、他人事だとは思えなかったのかも知れない。
それからは、まるで、娘の様に村人達から可愛がられて育ったそうだ。碧い目のコンタクトは、その時にアンクから渡された物らしい。奴隷狩り等がいる以上、どこで噂になるかわからない。『悪魔の子』であると言う事は、出来るだけ隠しておいた方がいいと言う、アンクの判断だそうだ。
「教会ってのは、こんな所まで追って来る様な奴等なのか?」
アンクが恐れていたのは、教会の連中に『悪魔の子』の存在がバレる事だった。『悪魔の子』は、人類に大きな災いを齎す。そんな迷信を説き、広めている元凶の様な存在だ。
教会も、忌み子くらいなら見逃すらしい。だが、それが『悪魔の子』となると、話は変わってくる。アンクの話では、おそらくだが、国を挙げての捕り物にまで発展する可能性まであるそうだ。それぐらい、『悪魔の子』というのは人々から恐れられているのだと。まるで、中世の魔女狩りだ。
そして、アスカが言い辛そうにしていた理由。それは、俺もその『悪魔の子』だと言う事実だ。
「私も、初めて見た。自分以外の……」
悪魔の子。とは、言い辛いみたいだ。確かに、言われて嬉しい様な言葉ではない。だが、この世界に来て間もない俺にとっては、特に気にする様な事では無かった。それよりも、自分が『悪魔の子』だと発覚した、その理由。その方が俺には驚きだった。
「何となく、視界が紅くなるのには気付いてたけど……。まさか、光っていたなんてな」
そう。それは、固有能力の発動時。確かに、俺の視界はいつも、薄い紅に染まっていた。だが、まさか自分の瞳が紅く光っていたなんて。
アスカの話によれば、『光る瞳』は能力の発動時に輝くらしい。だが、それは才能に慣れていない幼少期の話で、次第にコントロールできる様になるそうだ。先程、光る瞳を輝かせてみせた、アスカの様に。
しかし、俺の瞳は普段の黒から紅に変わり、輝く。そんな、色が変わると言うケースは他に例が無いらしい。アスカも、初めて見たそうだ。
「アンクなら、何か知っているかも知れないけど……」
だが、期待は出来ない。やはり、より情報を得るには、もっと大きな町に行く必要がありそうだ。アスカの話を聞いて、俺は、密かにそう決意を固めていた──。
俺は、全てを理解した。
上手く言葉に出来ない。アスカの説明を聞き、何とも言えない重い空気が俺達を包んだ。一通りの話を終え、アスカは、再び俺の横に腰を掛ける。俺は、彼女にかける言葉を見つけられないでいた。
混血は忌み子、悪魔の子。アスカは初め、俺にそう説明した。だが、実際は微妙に違うらしい。忌み子として怖れられる、混血の子供。独自の紋様を体に宿し、固有能力等の強力な才能を持って生まれてくる。
だが、その中でも特に怖れ、忌み嫌われている存在が、『光る瞳』を持つ忌み子。それが、『悪魔の子』。その才能は忌み子の比では無く、最早、伝説的な存在でもあるらしい。勿論、悪い意味でだが。後に、魔王や悪魔になると言う、そんな迷信まである様だ。
「村長……おじいちゃんは、そんな私を匿ってくれていたの」
気まずい雰囲気を察したのか、アスカが沈黙を破った。村長……つまり、アンクの事だ。
幼少時、『悪魔の子』である事が発覚したアスカは、村を追われた。元々、孤児だったアスカに身寄りは無い。幼いアスカは身一つで村を追い出され、瀕死で荒野を彷徨っていたらしい。
それを見つけ、保護したのがあの村の連中だ。自分達も差別を受け、虐げられていた彼等は、アスカの瞳を見ても彼女を見捨てなかった。それどころか、その境遇に同情までしたらしい。同じ、不遇な環境に身を置く者にとって、他人事だとは思えなかったのかも知れない。
それからは、まるで、娘の様に村人達から可愛がられて育ったそうだ。碧い目のコンタクトは、その時にアンクから渡された物らしい。奴隷狩り等がいる以上、どこで噂になるかわからない。『悪魔の子』であると言う事は、出来るだけ隠しておいた方がいいと言う、アンクの判断だそうだ。
「教会ってのは、こんな所まで追って来る様な奴等なのか?」
アンクが恐れていたのは、教会の連中に『悪魔の子』の存在がバレる事だった。『悪魔の子』は、人類に大きな災いを齎す。そんな迷信を説き、広めている元凶の様な存在だ。
教会も、忌み子くらいなら見逃すらしい。だが、それが『悪魔の子』となると、話は変わってくる。アンクの話では、おそらくだが、国を挙げての捕り物にまで発展する可能性まであるそうだ。それぐらい、『悪魔の子』というのは人々から恐れられているのだと。まるで、中世の魔女狩りだ。
そして、アスカが言い辛そうにしていた理由。それは、俺もその『悪魔の子』だと言う事実だ。
「私も、初めて見た。自分以外の……」
悪魔の子。とは、言い辛いみたいだ。確かに、言われて嬉しい様な言葉ではない。だが、この世界に来て間もない俺にとっては、特に気にする様な事では無かった。それよりも、自分が『悪魔の子』だと発覚した、その理由。その方が俺には驚きだった。
「何となく、視界が紅くなるのには気付いてたけど……。まさか、光っていたなんてな」
そう。それは、固有能力の発動時。確かに、俺の視界はいつも、薄い紅に染まっていた。だが、まさか自分の瞳が紅く光っていたなんて。
アスカの話によれば、『光る瞳』は能力の発動時に輝くらしい。だが、それは才能に慣れていない幼少期の話で、次第にコントロールできる様になるそうだ。先程、光る瞳を輝かせてみせた、アスカの様に。
しかし、俺の瞳は普段の黒から紅に変わり、輝く。そんな、色が変わると言うケースは他に例が無いらしい。アスカも、初めて見たそうだ。
「アンクなら、何か知っているかも知れないけど……」
だが、期待は出来ない。やはり、より情報を得るには、もっと大きな町に行く必要がありそうだ。アスカの話を聞いて、俺は、密かにそう決意を固めていた──。
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