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第35話 後夜祭で「フォークダンス」を踊ったら、無限の愛を循環させる儀式だと崇められました
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「文化祭の最後は、やっぱりこれだな」
校庭の真ん中に巨大なキャンプファイヤーが組まれ、炎が燃え上がっている。
文化祭のフィナーレ、後夜祭だ。
スピーカーからは、軽快なカントリー調の音楽が流れている。
『オクラホマ・ミキサー』だ。
「さあ、みんな輪になれー!」
実行委員の掛け声で、生徒たちが男女ペアになって大きな二重の円を作る。
俺の最初のパートナーは、運良く(?)陽菜だった。
「た、拓海くん……。手、繋ぐのね……」
陽菜が顔を真っ赤にして、震える手を出してくる。
「ああ。……ほら、曲が始まるぞ」
♪チャラッ、チャッ、チャッ、チャッ……
俺はリズムに合わせて足を動かした。
タタッ、タタッ、とステップを踏み、踵(かかと)を突き出す。
日本の学校教育で叩き込まれた、完璧なフォークダンスだ。
「えっ……!? なにこのステップ……!?」
陽菜が目を丸くした。
「右、左、右……。単純な動きなのに、魔力の流れが整っていく……! 足裏で大地のリズムを刻むことで、私の乱れた鼓動(ハート)をチューニングしてくれているの!?」
(ただのステップだよ)
そして、曲の展開部。
腕を組み、くるりと回るターン。
「行くぞ」
俺は陽菜と腕を組み、遠心力を使って軽やかに回転した。
「きゃあっ♡」
「回った……! 世界が回ったわ! 拓海くんを中心にして、私という衛星が軌道修正された気分……!」
そして、最大の難関であり、このダンスの肝。
**「パートナーチェンジ」**だ。
目の前のパートナーと別れ、左斜め前の新しいパートナーへと移動する。
「じゃあな」
俺はあっさりと陽菜の手を離し、次の女子へと移動した。
「ああっ!? 拓海くんが行ってしまう……!?」
陽菜が名残惜しそうに手を伸ばすが、システム上仕方がない。
次のパートナーは、シャルロット王女だった。
「お待ちしておりましたわ、拓海様!」
シャルロットが待ち構えていたかのように、ガシッと俺の手を掴んだ。
「前の女(陽菜)を捨てて、私を選んでくださったのですね! 愛しております!」
「いや、順番だから」
俺はシャルロットとも同じステップを踏み、ターンをして、また次の女子へ。
次々とパートナーが変わっていく。
ミア、クラスの女子A、女子B……。
「……信じられませんわ」
順番待ちをしていたミアが、眼鏡を光らせて戦慄する。
「普通、複数の女性と関係を持つと、嫉妬や憎悪で修羅場になるはず……。ですが、拓海様はこの『円環の理(サークル・ダンス)』によって、全ての女性に平等の時間と愛を与えているのです!」
「そ、そうか!」
背後で一人踊っていた剛田(パートナーなし)が叫んだ。
「一人に執着せず、次々と相手を変えることで、愛の停滞を防いでいるんだ! これは『ハーレム』じゃない……。『愛の永久機関』だ!」
「流れる水は腐らない……。拓海様の愛もまた、留まることを知らないのね……!」
イグニスも輪の外で見ていたが、恐怖で震え上がっていた。
「あいつ……何人と踊る気だ!? 100人……いや、全校生徒を『手玉』に取ってやがる! しかも、捨てられた女たちが全員、満足げな顔をして次の男(モブ)に行きやがる……! 嫉妬の感情すら浄化する『聖人』の舞踏だとでもいうのか!?」
(ただルール通りに動いてるだけだって)
一周回って、再び陽菜が回ってきた。
「おかえりなさい、拓海くん!」
陽菜が涙目で俺を迎える。
「いろんな人のところへ行っても、最後は必ず私のところへ戻ってきてくれるのね……! これが『運命』……!」
「いや、円だから戻ってくるんだよ」
曲が終わる頃には、校庭にいる全女子生徒が「拓海様と踊った(数秒間)」という事実だけでトランス状態に陥り、キャンプファイヤーの炎よりも熱い熱気に包まれていた。
俺はただ汗だくになっただけだが、この夜、俺は「千人の恋人を持つ男」という、全く身に覚えのない伝説を残してしまった。
校庭の真ん中に巨大なキャンプファイヤーが組まれ、炎が燃え上がっている。
文化祭のフィナーレ、後夜祭だ。
スピーカーからは、軽快なカントリー調の音楽が流れている。
『オクラホマ・ミキサー』だ。
「さあ、みんな輪になれー!」
実行委員の掛け声で、生徒たちが男女ペアになって大きな二重の円を作る。
俺の最初のパートナーは、運良く(?)陽菜だった。
「た、拓海くん……。手、繋ぐのね……」
陽菜が顔を真っ赤にして、震える手を出してくる。
「ああ。……ほら、曲が始まるぞ」
♪チャラッ、チャッ、チャッ、チャッ……
俺はリズムに合わせて足を動かした。
タタッ、タタッ、とステップを踏み、踵(かかと)を突き出す。
日本の学校教育で叩き込まれた、完璧なフォークダンスだ。
「えっ……!? なにこのステップ……!?」
陽菜が目を丸くした。
「右、左、右……。単純な動きなのに、魔力の流れが整っていく……! 足裏で大地のリズムを刻むことで、私の乱れた鼓動(ハート)をチューニングしてくれているの!?」
(ただのステップだよ)
そして、曲の展開部。
腕を組み、くるりと回るターン。
「行くぞ」
俺は陽菜と腕を組み、遠心力を使って軽やかに回転した。
「きゃあっ♡」
「回った……! 世界が回ったわ! 拓海くんを中心にして、私という衛星が軌道修正された気分……!」
そして、最大の難関であり、このダンスの肝。
**「パートナーチェンジ」**だ。
目の前のパートナーと別れ、左斜め前の新しいパートナーへと移動する。
「じゃあな」
俺はあっさりと陽菜の手を離し、次の女子へと移動した。
「ああっ!? 拓海くんが行ってしまう……!?」
陽菜が名残惜しそうに手を伸ばすが、システム上仕方がない。
次のパートナーは、シャルロット王女だった。
「お待ちしておりましたわ、拓海様!」
シャルロットが待ち構えていたかのように、ガシッと俺の手を掴んだ。
「前の女(陽菜)を捨てて、私を選んでくださったのですね! 愛しております!」
「いや、順番だから」
俺はシャルロットとも同じステップを踏み、ターンをして、また次の女子へ。
次々とパートナーが変わっていく。
ミア、クラスの女子A、女子B……。
「……信じられませんわ」
順番待ちをしていたミアが、眼鏡を光らせて戦慄する。
「普通、複数の女性と関係を持つと、嫉妬や憎悪で修羅場になるはず……。ですが、拓海様はこの『円環の理(サークル・ダンス)』によって、全ての女性に平等の時間と愛を与えているのです!」
「そ、そうか!」
背後で一人踊っていた剛田(パートナーなし)が叫んだ。
「一人に執着せず、次々と相手を変えることで、愛の停滞を防いでいるんだ! これは『ハーレム』じゃない……。『愛の永久機関』だ!」
「流れる水は腐らない……。拓海様の愛もまた、留まることを知らないのね……!」
イグニスも輪の外で見ていたが、恐怖で震え上がっていた。
「あいつ……何人と踊る気だ!? 100人……いや、全校生徒を『手玉』に取ってやがる! しかも、捨てられた女たちが全員、満足げな顔をして次の男(モブ)に行きやがる……! 嫉妬の感情すら浄化する『聖人』の舞踏だとでもいうのか!?」
(ただルール通りに動いてるだけだって)
一周回って、再び陽菜が回ってきた。
「おかえりなさい、拓海くん!」
陽菜が涙目で俺を迎える。
「いろんな人のところへ行っても、最後は必ず私のところへ戻ってきてくれるのね……! これが『運命』……!」
「いや、円だから戻ってくるんだよ」
曲が終わる頃には、校庭にいる全女子生徒が「拓海様と踊った(数秒間)」という事実だけでトランス状態に陥り、キャンプファイヤーの炎よりも熱い熱気に包まれていた。
俺はただ汗だくになっただけだが、この夜、俺は「千人の恋人を持つ男」という、全く身に覚えのない伝説を残してしまった。
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