博多に移住して人生をやり直す

耶麻寿

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第四章 1年生 2学期

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翌日朝8時、待ち合わせに指定したコンビニの駐車場に着いた。
彼女には前金で10万円は渡したが、普通なら来るはずがない。
馬鹿な約束をしたと思いながら店内に入ると、彼女が待っていた。

「おはようございます」

「おはよう、好きな飲み物でも選べばいい」
アイスコーヒーを手にして、彼女の分まで支払う。
車に乗り込んで、走り出した。

「君を、何て呼べばいい?」

みおと呼んで下さい。私は、何と呼べばいいですか?」

「つよしでいいよ」
落ち着いて彼女を見ると、目の横にあるほくろが色っぽい。
博多のソープなら大衆店レベルの顔立ちだが、メイクが薄すぎて特徴が無い。
スタイルも目を見張るようなメリハリはなく、160cmくらいで痩せている。
ブラウスにひざ下丈のスカートだが、正直ダサい。

「どこに行くんですか?」

「緊張しないでいい。いきなりホテルに連れ込んだりしないから」

日曜日の早い時間だから車は少なく、午前10時前には佐賀県呼子の風が見える公園に着いた。
展望台から遠くに壱岐の島まで見える。吹き抜ける海風が体に心地よい。

「わぁ、風が気持ち良い。景色が最高」
スマホで景色を撮影しながら、はしゃぐ彼女を見てドライブデートなど初めてだと気がついた。
ただ30万も払って、デートはコスパが悪すぎるだろう。
唐津市内でランチを食べて、早めに博多へ戻る。
さっきまで元気だった彼女は、急に口数が少なくなった。

「つよしさんは、何で私に30万も払うんですか?」

「君の甘い考え方に腹が立った。
風俗で働く彼女たちは一生懸命なのに、お金を稼ぐ事を軽く考えてる」

「私だって、一生懸命生きてます」

「じゃあ具体的な話をしよう。
君がソープランドで働くとして、90分で3万円の大衆店が精一杯だ。
君の手取りは客1人あたり2万円、30万稼ぐには15人の男に抱かれる事になる。
1人の客と2回セックスすることになるから30回になる、君は耐えられるかな?」
俺が具体的な数字を出すと大変さを実感したのか、黙ってしまった。

「つよしさんのお気に入りは、お金を稼いでるんですか?」
少し経ってから、ぼそぼそと聞いてくる。

「彼女は人気者だから、なかなか予約が取れない。
週に2日、1日4人ずつしか働かないから、必要な分だけ稼いているようだ」

「それでいくらになるんですか?」

「彼女に直接聞いたわけじゃないけど、中級店だから1日10万以上だろう」
あれだけ脅したのに金額を聞いてくるのは、よほどお金に困っているのか気になる。

「そんなに金に困ってるのか?」

「急いで引っ越したいんです。隣の人が怖くって」

「それで大至急、30万必要なんだ」

「セキュリティがしっかりしているマンションって、高いんですよ」

「毎月の家賃はどうするんだ?」

「だから風俗で働くことを諦めきれないんです」

福岡都市高速を呉服町ランプで降りて、都心部に向かう。
俺が予約したホテルのエントランスに、ゆっくりと車を滑り込ませた。

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