博多に移住して人生をやり直す

耶麻寿

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第六章 1年生 3学期

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エイジア製菓学校の卒業制作展示は、合格者ミーティングと一緒に行われる。
土曜日がミーティング、日曜日が保護者を招いての卒業制作発表会となっている。
カフェ専科の1年生はミーティングで学内カフェを担当する。
今回は、高卒女子の石川結奈が委員長に選ばれた。
役員には、実習班の龍崎彩音も選ばれている。

「香山さん、学校祭の委員長だったから、いろいろ教えてください」
彩音が委員長を連れてきた。

「俺から教わった通りにやれば、石川委員長の店じゃなくなる。
自分たちでやりたい事を考えるんだな。
一生懸命考えて行き詰まってから、聞いてこい」

まずは突き放す、担任が失敗から学ぶのも学校だと言っていた。
安易に手を貸すことはない。

インターンは2週目から、フロアがメインになった。
お客様相手のサービスが続く、慣れるまでは疲れる。

「香山君、頑張ってるね。お客様からの評判もいいよ」
フロアマネージャーの田中女史が褒めてくれる。

「ありがとうございます。
間違えないようにするのが精一杯ですよ」

「すぐに余裕持って出来るようになる。
後は、もっと笑顔だね」

「気をつけます」

3週目に入って、花蓮が同級生と二人で店にやって来た。
俺がフロアに出てすぐだったので、仕方なく接客した。

「いらっしゃいませ、注文はお決まりでしょうか?」

「フラットホワイトを2つ、砂糖入りと無しでお願いします」

「かしこまりました」
オーダーをカウンターに通すとすぐに出来上がって、花蓮の席に持って行く。
砂糖入りは友人に、無しは花蓮の前に置いた。

「香山さん、ユニフォームがすごく似合ってる」
俺だけに聞こえるように花蓮がささやいた。

「では、ごゆっくりお楽しみください」
花蓮を無視して席を離れる。
顔を見ると、ちょっと膨れていた。

翌朝、カフェ実習室で朝練していると花蓮がやって来た。

「昨日は、香山さんに無視された」

「仕事中だ、当たり前だろ」

「あんたはストーカーだよ」
絵美里も容赦ない。

「せっかく客として行ったのに」

「ちゃんと客として扱っただろ、文句言わずにこれでも飲め」
カップを花蓮に渡す。

「え、これフラットホワイトだ」
一口飲んだ彼女が驚いてる。

「店とは違うけど、見よう見まねでやってみた」

「ちゃんと出来てるよ、香山さんスゴい」

「まあな、俺って天才だから」

「さっきまで、何度も失敗してたでしょ」
絵美里がバラし、実習室の皆が笑った。

3週目の最後にカウンターの中で仕事を見せてもらった。
もっとインターンを続けたかったが、無給インターンは短期の体験、実習に限られる。
3週間15日間で最初のインターンシップが終わった。

「香山君なら正社員に推薦したいくらいだ。
アルバイトしたかったら、いつでも歓迎するよ」

「お客様から、あの人誰?って、よく聞かれたわ。もっとフロアにいてくれたら、売り上げもあがったのに」
店長やフロア長からお褒めの言葉を頂いて、無事に終わらせることが出来た。

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