52 / 142
第六章 1年生 3学期
5
しおりを挟む
エイジア製菓学校は、合格ミーティング、卒業制作発表会が終わって落ち着くはずだった。
だが公式イベント以上の騒ぎが起きているのは、バレンタインデーが週末14日にあるからだ。
「香山さん、プレゼントを楽しみにして下さいね」
花蓮のアピールがすごくて、鬱陶しい。
バレンタインデーの金曜日は、学校を休もうかと思うくらいだ。
「金曜日、休もうかな」
昼休み、ボソッと言うと実習班の3人が拒絶する。
「駄目です。皆、頑張ってるんだから」
「みんなって誰だよ?」
「私たちでしょ、凛花女史に陽妃さんに結奈ちゃん。
どうせ、花蓮も作ってるんでしょう」
「みんな知り合いじゃないか」
「知らない女性からもらいたいんですか?」
「いや、困る」
社長時代には取引先の会社や訪問先で頂いて、お返しに苦労した。
製菓学校では手作りが当たり前だから、チョコに込められた思いが怖い。
「休んだら、家まで押し掛けますよ」
最後に彩音が怖い事を言った。
結局、金曜日を迎えてしまう。
登校してカフェ実習室でリーフのラテアートを練習していたら、絵美里たちがやって来た。
「ラテを3つ」
3人が生意気に椅子に座って、俺に注文してくる。
俺と高橋さんでラテを仕上げて渡すと、相手が小さな箱を出した。
「お二人に私たちからのチョコレートです」
箱を開けるとボンボンショコラが3つ入っている。
「チョコのテンパリングから自分たちでやったんですよ」
「ありがとう、嬉しいよ」
俺が受け取ると3人が喜んでいた。
朝から昼休み、放課後とここまで12個ほど頂いた。
その都度、実習班の3人が嫌な顔をする。
製パン実習室に入ると、最後に江口花蓮が箱を持って来た。
「今日、いくつチョコレートを貰いました?」
「確か、12個だったと思う」
「あれだけ、みんなにプレッシャーをかけておいたのに。
さすがに香山さんです。
これは私からです、ただし家に帰って開けてください」
「家で?」
「一人になってから、ゆっくり見てください」
「怖いな」
「私の想いが込ってますから」
この日は、自主練はやめて真っすぐに家に帰る。
気になる花蓮のチョコレートを開けると、チョコレートケーキの真ん中にマジパンで作られた女性が横たわっている。
黒いビキニ姿だし、思い切り巨乳なので、モデルは花蓮自身だと言いたいんだろう。
これじゃ、学校では見せられないはずだ。
他のプレゼントも開けてみるが、お返し狙いの義理チョコばかりで逆に安心した。
土曜日の午後、遥香嬢の出勤に合わせて予約を取っていた。
中洲の店で受付を済ませると、彼女の登場だ。
「香山さん、本指名をありがとうございます」
「遥香ちゃんに早く逢いたくて、口開けの予約を入れたよ」
話ながら個室に入ると、彼女がプレゼントをくれた。
「昨日はたくさん頂いたでしょうけど、これは私からです」
「ありがとう、嬉しい」
「バレンタインデーは、本命からチョコレートもらいました?」
「ああ、今もらった」
「香山さんって、ホントに遊び上手ですね、今日は空っぽになるまで逃がしませんよ」
だが公式イベント以上の騒ぎが起きているのは、バレンタインデーが週末14日にあるからだ。
「香山さん、プレゼントを楽しみにして下さいね」
花蓮のアピールがすごくて、鬱陶しい。
バレンタインデーの金曜日は、学校を休もうかと思うくらいだ。
「金曜日、休もうかな」
昼休み、ボソッと言うと実習班の3人が拒絶する。
「駄目です。皆、頑張ってるんだから」
「みんなって誰だよ?」
「私たちでしょ、凛花女史に陽妃さんに結奈ちゃん。
どうせ、花蓮も作ってるんでしょう」
「みんな知り合いじゃないか」
「知らない女性からもらいたいんですか?」
「いや、困る」
社長時代には取引先の会社や訪問先で頂いて、お返しに苦労した。
製菓学校では手作りが当たり前だから、チョコに込められた思いが怖い。
「休んだら、家まで押し掛けますよ」
最後に彩音が怖い事を言った。
結局、金曜日を迎えてしまう。
登校してカフェ実習室でリーフのラテアートを練習していたら、絵美里たちがやって来た。
「ラテを3つ」
3人が生意気に椅子に座って、俺に注文してくる。
俺と高橋さんでラテを仕上げて渡すと、相手が小さな箱を出した。
「お二人に私たちからのチョコレートです」
箱を開けるとボンボンショコラが3つ入っている。
「チョコのテンパリングから自分たちでやったんですよ」
「ありがとう、嬉しいよ」
俺が受け取ると3人が喜んでいた。
朝から昼休み、放課後とここまで12個ほど頂いた。
その都度、実習班の3人が嫌な顔をする。
製パン実習室に入ると、最後に江口花蓮が箱を持って来た。
「今日、いくつチョコレートを貰いました?」
「確か、12個だったと思う」
「あれだけ、みんなにプレッシャーをかけておいたのに。
さすがに香山さんです。
これは私からです、ただし家に帰って開けてください」
「家で?」
「一人になってから、ゆっくり見てください」
「怖いな」
「私の想いが込ってますから」
この日は、自主練はやめて真っすぐに家に帰る。
気になる花蓮のチョコレートを開けると、チョコレートケーキの真ん中にマジパンで作られた女性が横たわっている。
黒いビキニ姿だし、思い切り巨乳なので、モデルは花蓮自身だと言いたいんだろう。
これじゃ、学校では見せられないはずだ。
他のプレゼントも開けてみるが、お返し狙いの義理チョコばかりで逆に安心した。
土曜日の午後、遥香嬢の出勤に合わせて予約を取っていた。
中洲の店で受付を済ませると、彼女の登場だ。
「香山さん、本指名をありがとうございます」
「遥香ちゃんに早く逢いたくて、口開けの予約を入れたよ」
話ながら個室に入ると、彼女がプレゼントをくれた。
「昨日はたくさん頂いたでしょうけど、これは私からです」
「ありがとう、嬉しい」
「バレンタインデーは、本命からチョコレートもらいました?」
「ああ、今もらった」
「香山さんって、ホントに遊び上手ですね、今日は空っぽになるまで逃がしませんよ」
3
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる