博多に移住して人生をやり直す

yamajuu

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第七章 春休み

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2日目以降もカフェ、ベーカリー、ブーランジェを視察して回る。
有名店は日本でも調べられるから、個人経営の路地裏やストリートの店を見て回った。

「メルボルンでお気に入りの店は有りましたか?」

「俺は、一人で切り盛り出来る店をしようと思っていた。
だがお客様のことを考えると、スタッフを使うことを考えるようになっている。
可愛いカフェより、ビジネスマンやおっさんが集まる店が好きだな」

「日本だと上手く行きますか?」

「別に1軒しか経営しないわけじゃない。
可愛いカフェやベーカリーカフェ、おっさん向けのカフェを経営すればいいんじゃない?」

「さすがに経営者目線で見るんですね」

「1軒の店を朝から夕方までと、夜の営業を別にする手もある。
一人で全部は出来ないから、仲間が必要だ」

「いいですね、経営に参加したいです」

「君なら歓迎するよ、共同経営者で構わない?」

「香山さんが私と男女の仲を避けたのはこのせいですか?」

「いや、君は危険だと虫の知らせがあった」

「まあ、ひどい。返事は帰国してからゆっくり考えます」

結局、13日間で60店舗を見て回り、外から写真を撮った店は150店以上になった。
夕方の便でシドニーに戻る。
最終日だけは中心部の5つ星ホテルに宿泊して、近くのパブで打ち上げをすることになった。

「14日間、お疲れさまでした。乾杯」

「乾杯、視察は本当に楽しかったです」
ビール醸造所を併設しているので、出来立ての生ビールを楽しむ。

「明日は午前中にお土産を買い漁らなければいけない」

「あっちこっちの女性に配るんですね」

「まあ、そうだ。君は、その中の一人になりたくないだろ?」

「そう言われると共同経営者の方が良いですね。
お土産を誰に買うか教えてくれれば、私が選んであげますよ」

「今夜中にリストを作っておくよ。
ただこの件だけはオフレコだ、約束出来るかな?」

「秘書には守秘義務があります」

安心して、夜のうちにリストを作って予算も書き込む。
母親の分だけは、予算無制限だ。
翌朝、モーニングセットを食べながら、彼女にリストを渡す。

「この予算無制限の人は誰です?」
リストを見ながら、武内女史のチェックが入る。
笑みを浮かべているが、表情は厳しい。

「母親だ、オーストラリアブランドの高級バッグがいい」

「了解しました。
ただ、実習班の3人に100ドル(オーストラリアドルは1ドル100円ぐらい)は多過ぎです。
50ドルが妥当ですよ、義理チョコ組は10ドルでいいでしょう。
それに、この100ドル4人は誰ですか?」
追究が厳しい、思い切りぶっちゃけよう。

「俺と関係がある風俗嬢だ、お土産ぐらいあげるのが礼儀なんだ」

「必要経費ということですね、了解です」

「このオパールを2つというのは?」

「君と花蓮の分だ、似合うものを選んでくれ」

「貴方を破産させますよ」

「君に任せるって言ったんだ、好きにしていい」

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