博多に移住して人生をやり直す

耶麻寿

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第八章 2年生 1学期

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「さあ、今日は頑張りましょう」
絵美里の掛け声で始まったカフェ営業は、開店から静かに始まった。
だがオープンから30分を過ぎると一気に満席になって、キッチンは戦場になっている。
俺一人のフロアはギリギリでこなしているが、ミートパイの提供が間に合わない。
レジ、ドリンク担当の彩音までが手伝って、やっと何とかなっている。

「花蓮、友達を5、6人連れて来てくれ」
見学に来ていた花蓮に頼むと、すぐに連れて来た。
二人一組で席に座らせて、10あるテーブルを3つ減らす。
7テーブルになって、やっとキッチンが落ち着くと食後のコーヒーも間に合った。

「もう落ち着いただろう、10席に戻すから準備しろ」
客の動きを見ながら、テーブルを開けていく。
お昼のピークには10席が満席になっても、料理の提供は順調だ。

「香山さんの機転で助かりました」

「絵美里、まだ終わってない。
反省は後でいいから、今するべき仕事に集中するんだ」
元々、3人共に仕事は出来る。
予想外の忙しさで、パニックになっただけだ。
ランチタイムが終わっても、ティータイムのあまおうかき氷が絶好調だ。
用意していたあまおうのフィリングが無くなって、無事に完売することが出来た。
最後のお客様を送り出した後、絵美里が泣き出した。
俺の指名で店長にしたので、プレッシャーを感じていたんだろう。
感情が爆発して号泣する姿は、彼女が真剣だったあかしだ。

「よく頑張った」

「でもパニックになりました」

「リハーサル無しで営業したら、想定外のことには対応出来ないよ」

「でも香山さんは、機転を利かせて正常化しました」

「俺は会社を経営していたから、初めから想定外の事は有ると思って行動している。
社会経験がない絵美里がわからないのは、仕方がない。
失敗から学べばいい、それが学校の役割だ」

結局、2週間のカフェ営業で俺たちの班は売上額では1位を獲得した。
ただ、一番大事な売上営業利益率では高橋チーム、武内チームの次で3位に終わった。

「さすがに高橋さんには、勝ち目がなかったです」

「いやいや、香山さんたちの1,000円ランチは、クオリティーが高くて驚かされた」

「でも、あまおうかき氷が1,000円は反則です」
武内女史が俺に噛みついた。

「俺の店では、あれを出したい。どうだ?」

「それは良いアイデアだと思いますけど」

「龍崎家の農園と年間契約をして、一定量を買い上げる。
向こうも収入が安定するし、こっちもクリスマス、バレンタインに必要量を確保出来る。
売れない時期の分を冷凍して、かき氷用に回せば損は出ないはずだ」

「本気で起業を考えているんですね」

「当たり前だろう。もう建設予定地も探している。
場所が決まったら、龍崎家と古民家の売却交渉に入るつもりだ。
運営会社の設立は、店舗が工事に入ったらスタートさせる」

「場所は、どこですか?」

「中央区、博多区のどこかになるだろう。
予算は、×××を考えている」

「「マジですか?」」
高橋さんと武内女史が飛び上がるほど驚いた。

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