博多に移住して人生をやり直す

耶麻寿

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第九章 2年生 夏休み 

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「おはようございます。待ちましたか?」

「いや、時間通りだ」
西鉄福岡駅の近くで待ち合わせていたが、花蓮は俺の車を覚えていた。
彼女が助手席に乗り込むと、車を都市高速の入り口に向けて走らせる。

「どこに行くんですか?」

「プライベートビーチだ、花蓮がナンパされたら困るからな」

「そんなところ、聞いたことがないです」

「まあ、任せておけ」
平日の都市高速から西九州道に向かう、意外なほど車が少ない。
九州では旧盆過ぎから海にクラゲが出るので、海水浴シーズンは終わりだと言われている。
それでも花蓮は海に行きたいと言うので、ちょっと遠出する羽目になった。
1時間半ほどで目的地に到着、温泉施設に車を停めて施設の裏にある専用ビーチに向かった。

「誰もいない」

「ああ、二人だけだな」

「あっちは人がいるね」

「向こうが海水浴場のようだ」
二人で歩いて行くと、2組の家族が子どもと一緒に遊んでいた。

「じゃあ、水着に着替えてくる」
コインシャワーで着替えるようだ、入り口の外で待つと花蓮が出てきた。

「どう? これでも子供扱いする?」
黒のビキニ姿は、立派な大人の体だった。
ずっと気になっていた胸は、想像以上の膨らみで俺の目を釘付けにする。

「いや、俺を欲情させるほど大人の女だ」

「歳の差を乗り越えてくれる?」

「卒業後なら考えてもいい。
俺は誰ともつき合わないって宣言しているから、今すぐと言われたら無理だ」

「堅いのね」

「俺は言った事は必ず達成する、それだけは崩せない」

「じゃあ、あと半年待てばいいの?」

「その間にお互いが相手を必要とすれば、答えが出るんじゃない」

「分かった。2学期からいつも通りにするから、キスくらいして」
俺の主張ばかり押し付ける訳にはいかない。
彼女の希望も聞いてやる。
近づいて抱きしめると、彼女が目を閉じる。
唇を一瞬だけ合わせたら、すぐに離れた。

「着替えて欲しい、他の人に君を見せたくない」

「目に焼き付けた?」

「ああ、夢に出てきそうだ」

シャワールームでシャツとショートパンツ姿に戻った花蓮を連れて、温泉施設に戻る。
入浴料を払って展望浴場に向かい、脱衣所の前で男湯、女湯に別れた。
海上に小さな島が点在する景色は素晴らしく、お湯に浸かってゆっくりと汗を流す。
温泉を楽しんだ後は、館内のレストランで海鮮丼を注文した。
車で来たのでビールが飲めない。ノンアルコールビールで乾杯する。

「もう、お酒が飲める歳になってるよ」

「卒業したら、実習班の3人とリッツ・カールトンのバーに行く約束になっている。
君も一緒に来ればいい」

「みんなの邪魔はしたくない。どうせなら、私一人を連れて行って」

「君が望むなら、そうしよう」

「言ったね、約束だよ」

「ああ、約束だ。おまけに部屋を取ろう」

「必ず達成するんだよね」

「間違いない」

勢いで約束したが、彼女がどこまで本気なのか、分からない。
それも一興だ、夢をみるのも悪くないだろう。


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