博多に移住して人生をやり直す

耶麻寿

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第九章 2年生 夏休み 

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「海より、ここに来たかったんだ」

花蓮を連れて、佐賀県嬉野にある古民家カフェに着いた。
外観をちょっとモダンな壁にしてあるが、中は古民家をそのまま利用している。

「素敵ですね、落ち着きます」

「雰囲気は、いいなあ。でもどうしても柱が多くなるな」
俺が理想とする店の感じとは、少し違っていた。
嬉野茶とケーキのセットを注文したが、水出し玉露が素晴らしい。
さすがに嬉野は茶処だけあって、お茶の扱いが上手い。

「もっと渋いかって思ってた」

「玉露は甘味が特徴だよ」

「家族にも飲ませてあげたいから、お土産に買って帰ろっと」

花蓮はカフェのレジ横に置いてあった玉露を買っていた。
長崎自動車道を使って、彼女の家まで送って行く。
走る車内で、俺は過去の恋愛について告白をした。

「俺は、恋愛に不向きな男らしい。
初恋の彼女以外とは、誰とも付き合っていない。
去年の失恋は、別れた後に好きだったと気づいたくらいだ」

「そんなはず無い。女の扱い方が上手すぎるでしょ」

「社長時代に接待で六本木のキャバクラや銀座のクラブに行ったんだ。プロの女性相手に鍛えられた」

「それだけ?」

「出張先でホテルに戻ったら、部屋に女子大生が居たことも有ったな」

「どうしたの?」

「もちろん抱いたさ。そうしないと彼女はギャラがもらえないからな」

「呆れた。でも、今はどうしてる?」

「中洲のソープランドに行ってるよ」

本当の事をぶっちゃけたら、花蓮は静かになった。
そのまま30分以上走り続けて、基山サービスエリアで車を停める。
スターバックスでコーヒーを買って、停まった車内で話した。

「毎回、違う人と遊ぶの?」

「いや、お気に入りの子が二人違う店にいて、交互に指名してる」

「どんな人?」

「二人ともプロだ、個人的なことは全く知らない。俺も聞かないし、向こうも話さない」

「私に嫌われようという、作り話では無いようね。
本当の事を話してくれて、ありがとう」

「軽蔑した?」

「いや、香山さんの人間的な面が分かって嬉しいです」

「俺だって弱い男だよ。花蓮に責められてオドオドしてるんだ」

「内面を知って、余計に好きになりました。私は卒業まで待ち続けます」
彼女の宣言を聞いて、嬉しい気持ちと決断を迫られる怖さを感じた。

花蓮の家まで送って行くと、母親と弟二人が出てきた。
母親は、キャリアウーマンという感じの顔つきで薄っすらと笑顔だ。
スラリと背が高い男の子たちは、男女の差を考えても花蓮とは顔の系統が違っている。
二人とも顔の作りが母親に似ているから、花蓮は父親似なんだろう。

「家に寄って下さい」

「いや、今日はこのまま帰る」

弟たちが俺を睨んでいた。
やましいことは何も無いが、針のムシロには座りたくない。
俺の想像以上に花蓮と兄弟の仲は良いと感じる。
まだ陽が高い時間だから、許されるはずだ。
花蓮を降ろして、母親と兄弟に会釈をしてから車を出した。

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