君の瞳に囚われて

ビスケット

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ドナドナ

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いま、俺はロンド公爵家に向かう馬車の中にいる。
グラン侯爵と、レオポルドとアレクシスも一緒だ。
理由は一つ。公爵家嫡男にびを入れにだ。
この世界、階級は絶対なのだということを嫌というほど学んでいる最中の俺である。

あのお茶会から数日後、公爵家から非公式に抗議が来たらしい。
非公式なのは、子供のケンカだから穏便にとの配慮だったらしく、俺が公爵嫡男に直接詫びを入れておしまいにしてくれるらしい。
いやぁ、それはそれは誠にありがとうございます、なんて俺がなるわけないだろうが。
あんな感じでかました後に謝りに行くなんて、地獄だ。
子供のプライドを何だと思ってるんだ。
それに、俺はぜんぜん悪くないぞ。悪くないよな・・・?

レオとアレクと俺からあの時のことを侯爵に報告をした後に俺が言われたのが、
「恐らく近日中に公爵邸にこちらから出向くことになる」だった。
いや、さすがにそんなことないやろ。と思ったらその通りになった。

この世界で、公爵というのは王族に連なるもので、同じ高位貴族とは言ってもまったくの別格らしいのだ。
そういうことを貴族家の子弟は徐々に学んできているはずが、俺の場合 別邸でのんびり暮らしていただけだったのでまっさらだった。
だからパチンコ玉を食らいそうになったあの時は、「おたわむれを。どうかお許しください。」とかなんとか言って足早に去っていくのが正解だったらしい。しらんがな。

貴族の屋敷は王宮を中心に固まっているようで、わりとすぐに着いてしまった。
公爵邸はすさまじい豪邸というよりも宮殿だった。
公爵邸の応接室で侯爵以下、雁首揃えて座って待っていると、公爵とその夫人と、ヘルメスが入ってきた。
一斉に侯爵チームが起立。
「この度は愚息がご子息に不敬を働き 申し訳なかった。」
と侯爵が頭を下げた。おれの為に頭を下げる侯爵に、おれは泣きたくなった。
しかしこれが、この世界の貴族社会におけるけじめなのだ。
そうして俺は腹を決めた。
立ち上がると、ヘルメスの前に立った。手を胸に当てて片足をついて頭を下げてこう言った。
「ヘルメス様、あの時の不敬をお詫びいたします。どうかお許しください。」
ヘルメスは何も言わない。声をかけられるまで顔を上げるわけにはいかないのでそのままでいると、グイッとあごを掴まれて上を向かされた。突然そんなことをされたので、首がもげるかと思ったが、ヘルメスはあっさり手を放して公爵に向かっていった。
「父上、わたしも少々やりすぎたかもしれません。この者の謝罪を受け入れます。」
といった。
公爵は、鷹揚にうなずいて、
「そうか、ではこの話は仕舞だ。」
と言った。そしてひざまづく俺に視線を移して、
「この子が例の養い子か。なるほど、躾のなっていないけものだな。」
と失礼なことをほざき、
「・・・本当に。侯爵、これから先が思いやられますわね、ほほほ。」
と、ヘレネ母上の実姉の公爵夫人がおっとりと続けた。そうして、
「ゼビウス、別室で久しぶりに酒でも飲もう」
と言って公爵夫妻は侯爵を伴って出て行った。
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