君の瞳に囚われて

ビスケット

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風の剣

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あやうくあいつに透明人間にされるところだったとも知らずに、俺はヘルメスの前でお庭番スタイルで待機中である。
公爵たちがいなくなって、残された我々のまわりに漂う空気の 気まずいことといったらなかった。
ま、後は若い者同士で~ということなんだろうか。

もう立っていいのか、立てというまでダメなのか分からず、首をひねっていたら
「ふっふっふ。」と聞こえてきた。
目の前に立つヘルメスが笑いながら俺の手を取って立たせた。

「カイン、これが貴族ってものなんだ。」とヘルメスが言ったので、
おれは
「なるほど。」
といったら、とたんにヘルメスもレオもアレクも笑い出した。

「承知しました。だよ、カイン」
そう言って、レオが微笑んだ後、レオがヘルメスに向かって頭を下げてこう言った。
「ヘルメス様、カインはまだ貴族社会に慣れていないのです。私がこれから少しづつ伝えて参ります。」

「そうか?でも、カインはほかの貴族と会うこともないのにどうやってそれを学ぶんだ?
わたしもあの時のことは反省しているが、魔力なしではまともな反応をしてもらえないぞ。」

すると、アレクシスが余計なことを言い出した。
「魔法操作の訓練の時、カインも同席させていただくことはできないのでしょうか?」
「私はいいが、侯爵が認めるかな。」

そんなことを、俺抜きで進めるちびっこたち。しかしおれは気づいた。おれは精神年齢が大人になったとしても、この世界においてはビギナーであり、貴族社会の事を何も知らない赤子同然だということに。

よって、俺は黙って素直に流されてみることにした。
それからみんなでヘルメスの私室に移動してからも、何やら3人が話しているのをよそに、俺は好きにくつろいでくれと言われたので、公爵家嫡男のお部屋訪問を楽しんでいた。

ヘルメスの部屋は、これ子供部屋だよね?
ってなくらい豪華で、よくこんなキラキラしいところでくつろげるなと思ったら、壁の一角に子供用の剣がたくさん飾ってあって、ちょっとそこだけ浮いていた。
こいつのコレクションかな?この年で刀剣収集とは。さすがは金持ちのボンボンである。

飾ってある剣は、いろいろあったが、一振りの剣に俺の目は留まった。
それはシンプルで実用的な感じの剣だった。風魔法の粒子がまとわりついている。
じいっと見てたら、後ろからヘルメスが近づいてきて俺に言った。

「それが気になるのか?風魔法が付与されている剣らしいぞ。俺たち貴族は剣技はたしなむ程度だが、俺は剣そのものが好きでな。いろいろ集めているんだ。握ってみるか?」

いや、さすがにそれは油断しすぎだろうと思って俺は言った。
「いいんですか?これを持ったわたしが襲ってきたらどうするんですか?」
そうしたら、ヘルメスは
「ふふふ、じゃあ試しにやってみるといい」
そういって壁から剣を取って俺に渡してきた。

演武のようにごくゆっくりと、剣をヘルメスに向かって動かしたら、手前で何かにはじかれた。はじかれた瞬間、茶色と青と緑の光が渦巻いた。
魔法同士がぶつかったように見えた。
「魔法防御だ。身につけた魔道具が反応して防御が働くんだ。」
思わず、服の下にあるチョーカーを疑わし気に手をやった俺だった。

この剣、風魔法の粒子が飛んでてすごくきれいだ。手に持つと、見た目より重さが相当軽減されている。これなら、6歳の俺でも振れそうだ。そんなことを考えながら壁に戻そうとしたとき、ヘルメスがこういった。
「その剣が気に入ったのか?この間の詫びだ、欲しければやるぞ。」

おれはそれを後頭部で聞いていたが、それを聞いた途端、ばっ!と振り向いた。
えっ、これくれるの!?
なぜだろう、急にこいつがとんでもなくいいやつに見えてきた。うん、俺たちは良い友達になれそうだ。

そうだ、こいつに攻撃を受けた時、俺は思ったんだ。一対一なら反射神経と動体視力で何とか避けられる。あとは攻撃力だと。

魔法が使えないから遠距離戦は無理でも、剣を使えば接近戦に持ち込んでなんとか戦えるんじゃないだろうか?
元剣士としての血が騒いだおれは、
「ありがとうございます!」
と、ありがたく頂くことにしたのだった。
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