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篠原教授
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「はぁ~っ」
大きな溜息をついて、侑奈はトイレ後に手を洗いながら鏡を見つめた。いっぱい泣いたせいかひどい顔をしている。
(でも私以上に隆文のこと泣かせちゃった)
めちゃくちゃ心配をかけるようなことをしたところで侑奈が想いを告げたものだから、色々なものが決壊したのだと思う。
(家に帰ったら改めて謝らなきゃ……)
あの調子では中々怒りがとけないと思うので、信用を取り戻すためには長期戦を覚悟したほうがいいだろう。
侑奈は両頬を叩いて気持ちを入れ直し、涙で崩れたメイクを直した。
「お待たせして申し訳ありませんでした」
「いえ。社長は先ほどとは違う部屋で待っているらしいので、ご案内いたします」
「え……でもあんなに応接室から動くなと言っていたのに?」
女子トイレから出て警備員に頭を下げると彼女はそう言って歩き出した。侑奈の疑問には答えてくれず無表情でエレベーターに乗り込む彼女に途端に不安になる。
(一階に降りるのかな? 隆文に連絡して確認してみようかしら……)
だが、一階に行くと思ったのにエレベーターは地下へと向かった。とてもじゃないが部外者が立ち入ってはいけないエリアな気がして、侑奈は足を止めた。
「あ、あの……四條社長に確認の連絡がしたいので少し待っていただけますか?」
「もう着きましたので、ご自分で確認されてください」
(着いた? でもここは……)
メッセージアプリを起動した途端そう言われて、視線を上に向ける。ドアのプレートには倉庫と書かれていた。
なぜここに連れてこられたのか分からず狼狽えると警備員がドアを開ける。
「どうぞ」
「いえ、中に入るのはやめておきます……。もし四條社長がいるなら呼んできてください」
侑奈は隆文に『地下倉庫』とだけメッセージを送り、彼女との会話が証拠として残るように、こっそりボイスメモを起動させてからスマートフォンをポケットに放り込んだ。
「入っていただかないと私が叱られます」
その言葉と共に、無理矢理中に引っ張り込まれてすっ転ぶ。
「痛……」
そこはあまり使われていないのか埃っぽかった。
転んだままゲホゲホと咳き込むと、室内にドアが閉まる音が響く。続いてガチャリと鍵までかかる音が聞こえて血の気が引いていった。
「ど、どうして、こんなことを……? やめてください! 今すぐドアを開けて」
立ち上がって彼女を睨みつけると、背後からくつくつと笑う声が聞こえてハッとする。おそるおそる振り返ると、篠原教授がいた。
「教授……なぜここに?」
(警備はどうなってるの? なぜ教授が社内に入れるの?)
侑奈は思った以上にざるな警備体制に唖然とした。いや、人の出入りが多い大企業だからこそ紛れ込めたのだろうか。
あとで隆文に警備の見直しについて言及しなければと考えながら、侑奈は息を呑んで篠原と向き合った。
(メッセージに気がついた隆文が、すぐに助けに来てくれるはずだわ。それまで頑張らなきゃ)
すごく怖いがここで怯えを見せるのは逆効果だ。侑奈はきゅっと唇を引き結んで怖さに耐えた。
「花秋くん、大丈夫かい? 部下が手荒くしてすまないね」
「教授……なぜこのようなところにいるのですか? 教授は四條製薬を嫌っておられたはずです。ここはその四條製薬のグループ企業ですよ」
「四條製薬が嫌いというより、君を虐める四條隆文が嫌いなのだよ。でもそんなことは些末なことさ。今日は君に先日の返事を聞くために来たんだ。全然連絡を寄越さないので、心配したよ」
(返事を聞きに来た? でも私は普段はここにいないのに)
ここに訪問したことを知らせた誰かがいるのだろうかと考えたところで、振り返り警備員を見る。篠原に脅されて侑奈を連れてきたのではなく、最初から彼の仲間なのだろうか。
「彼女は……教授の指示でここで働いているんですか?」
「ああ、そうだよ。今日も彼女の報告を受けて来たんだ。やはり潜り込ませておいて正解だった。お偉方は警備員の採用などあまり気にしないからね。簡単だったよ」
そう言って嗤う彼に狂気的なものを感じて怯んでしまう。ここで感情的になるのは良くないと分かっているのに、「どうしてそんなに変わってしまったの?」と問い質したくなる。
侑奈が何も答えないことに焦れたのか彼はピンク色の液体が入った小瓶を見せてきた。何かは分かっているが、知らないと思わせたほうがいいと考え、敢えてすっとぼける。
「これは?」
「神経毒だよ。花秋くんは確か毒物に詳しかったね。これは私が作ったのだが、思った以上に効果がきつく出てしまい少々困っているのだよ。ゆっくり人が壊れていくところが見たかったのにこれではいけない。君が調整してくれるかね?」
そう言って手を差し出す彼に侑奈は瞠目した。体がわなわなと震えてくる。
「ひ、人を壊したいのですか? どうして? 教授はそんな方ではありませんでしたよね? 新薬の開発をしていると仰ったではありませんか」
「新薬の開発は隠れ蓑にすぎない。そんなものをつくっても大して金にもならんし名誉にもならん。それなら必要とされるところで役立てようと考えただけだよ」
「人を傷つけるものが必要とされるなんてあり得ません」
「花秋くんのような育ちのいいお嬢様には想像もつかないのだろうが、そういう場はいくらでもあるのだよ」
篠原はとても楽しそうに自分の構想を語った。殺傷力が高いものと低いものを作り、兵器として活用したいと……
さすれば大金が舞い込み、同時に地位と名誉が約束されると彼は言った。
(地位? 名誉? お金? そんなもののために多くの罪のない人を傷つけたの?)
「ただ壊すだけなら別に今のままでもいいんだが、生かして色々吐かせたいときなどにはこれでは困るのだよ。麻痺が重すぎて話せる状況じゃないんだ」
「だから私に微調整させたいと?」
「ああ、やってくれるかね?」
本当はどこかで何かの間違いではないのかと、思いたかった。信じたかった。思い出の中の彼は研究熱心で誰かを傷つけるような人ではなかったから。
侑奈の心に失望が広がっていく。侑奈はジッと彼を見据えた。
「嫌だと言ったら、教授は私をどうしますか?」
「そうだね、四肢を切り落として連れて帰ろうか。手足がなくとも君の知識さえ使えればそれでいいからね」
「……なんてことを」
「でも痛いのもつらいのも嫌だろう? 私も可愛い教え子を傷つけたくなんてないから大人しく従ってほしいけどね」
(狂ってる……!)
「分かりました……従います」
「いい子だ」
項垂れて従ったふりを見せると、篠原が喜んだので、その隙に侑奈は篠原めがけて渾身の力で体当たりをした。
「っ!」
バランスを崩した篠原が倒れ込む。そんな彼の上に馬乗りになって、彼の手から薬が入った小瓶を引ったくり、侑奈はこちらに向かってこようとする警備員に向かって叫んだ。
「動いたら教授にこの毒を飲ませます」
「ふ、ふざけるな! どうやら君は一度痛い目を見なければ分からないようだな」
篠原は小瓶を持つ侑奈の手を掴んで取り上げようとした。取られまいと必死に力を入れるが相手の力が強いので負けそうだ。侑奈はなんとか力を込めてぐぐぐ……と小瓶を彼の口元に押しつけようとした。そのとき、ものすごい強さに押し返されて、小瓶の中身がこぼれて篠原にかかってしまう。
「うわあぁあっ!」
「きゃあっ」
その瞬間篠原が叫び出し突き飛ばされる。彼は慌ててかかった薬を拭きながら叫んだ。
「なんてことをするんだ! これは毒だぞ!」
「だから何なの? 自分でつくったものなんだから、身をもって自分で試してみなさいよ! 多くの人の苦しみを知るといいんだわ」
「このくそ女! 殺してやる!」
途端、激昂した篠原に顔を殴られる。突如として走った鋭い痛みと衝撃に壁まで体が飛んだ。その瞬間、頭を強く打ちつけてしまう。
(……そういえば服用したときしか調べていないけど、皮膚に塗布した場合はどうなるのかしら)
篠原の皮膚が爛れたりするのだろうか、それとも服用したときと同じように麻痺が起きるのだろうか、そうなればいいのにと……侑奈が遠のく意識でぼんやり考えたとき、ドアがバンッと開く。
「侑奈、大丈夫か? 侑奈! おい、侑奈!」
隆文の呼ぶ声が遠くで聞こえるがうまく返事ができなかった。
大きな溜息をついて、侑奈はトイレ後に手を洗いながら鏡を見つめた。いっぱい泣いたせいかひどい顔をしている。
(でも私以上に隆文のこと泣かせちゃった)
めちゃくちゃ心配をかけるようなことをしたところで侑奈が想いを告げたものだから、色々なものが決壊したのだと思う。
(家に帰ったら改めて謝らなきゃ……)
あの調子では中々怒りがとけないと思うので、信用を取り戻すためには長期戦を覚悟したほうがいいだろう。
侑奈は両頬を叩いて気持ちを入れ直し、涙で崩れたメイクを直した。
「お待たせして申し訳ありませんでした」
「いえ。社長は先ほどとは違う部屋で待っているらしいので、ご案内いたします」
「え……でもあんなに応接室から動くなと言っていたのに?」
女子トイレから出て警備員に頭を下げると彼女はそう言って歩き出した。侑奈の疑問には答えてくれず無表情でエレベーターに乗り込む彼女に途端に不安になる。
(一階に降りるのかな? 隆文に連絡して確認してみようかしら……)
だが、一階に行くと思ったのにエレベーターは地下へと向かった。とてもじゃないが部外者が立ち入ってはいけないエリアな気がして、侑奈は足を止めた。
「あ、あの……四條社長に確認の連絡がしたいので少し待っていただけますか?」
「もう着きましたので、ご自分で確認されてください」
(着いた? でもここは……)
メッセージアプリを起動した途端そう言われて、視線を上に向ける。ドアのプレートには倉庫と書かれていた。
なぜここに連れてこられたのか分からず狼狽えると警備員がドアを開ける。
「どうぞ」
「いえ、中に入るのはやめておきます……。もし四條社長がいるなら呼んできてください」
侑奈は隆文に『地下倉庫』とだけメッセージを送り、彼女との会話が証拠として残るように、こっそりボイスメモを起動させてからスマートフォンをポケットに放り込んだ。
「入っていただかないと私が叱られます」
その言葉と共に、無理矢理中に引っ張り込まれてすっ転ぶ。
「痛……」
そこはあまり使われていないのか埃っぽかった。
転んだままゲホゲホと咳き込むと、室内にドアが閉まる音が響く。続いてガチャリと鍵までかかる音が聞こえて血の気が引いていった。
「ど、どうして、こんなことを……? やめてください! 今すぐドアを開けて」
立ち上がって彼女を睨みつけると、背後からくつくつと笑う声が聞こえてハッとする。おそるおそる振り返ると、篠原教授がいた。
「教授……なぜここに?」
(警備はどうなってるの? なぜ教授が社内に入れるの?)
侑奈は思った以上にざるな警備体制に唖然とした。いや、人の出入りが多い大企業だからこそ紛れ込めたのだろうか。
あとで隆文に警備の見直しについて言及しなければと考えながら、侑奈は息を呑んで篠原と向き合った。
(メッセージに気がついた隆文が、すぐに助けに来てくれるはずだわ。それまで頑張らなきゃ)
すごく怖いがここで怯えを見せるのは逆効果だ。侑奈はきゅっと唇を引き結んで怖さに耐えた。
「花秋くん、大丈夫かい? 部下が手荒くしてすまないね」
「教授……なぜこのようなところにいるのですか? 教授は四條製薬を嫌っておられたはずです。ここはその四條製薬のグループ企業ですよ」
「四條製薬が嫌いというより、君を虐める四條隆文が嫌いなのだよ。でもそんなことは些末なことさ。今日は君に先日の返事を聞くために来たんだ。全然連絡を寄越さないので、心配したよ」
(返事を聞きに来た? でも私は普段はここにいないのに)
ここに訪問したことを知らせた誰かがいるのだろうかと考えたところで、振り返り警備員を見る。篠原に脅されて侑奈を連れてきたのではなく、最初から彼の仲間なのだろうか。
「彼女は……教授の指示でここで働いているんですか?」
「ああ、そうだよ。今日も彼女の報告を受けて来たんだ。やはり潜り込ませておいて正解だった。お偉方は警備員の採用などあまり気にしないからね。簡単だったよ」
そう言って嗤う彼に狂気的なものを感じて怯んでしまう。ここで感情的になるのは良くないと分かっているのに、「どうしてそんなに変わってしまったの?」と問い質したくなる。
侑奈が何も答えないことに焦れたのか彼はピンク色の液体が入った小瓶を見せてきた。何かは分かっているが、知らないと思わせたほうがいいと考え、敢えてすっとぼける。
「これは?」
「神経毒だよ。花秋くんは確か毒物に詳しかったね。これは私が作ったのだが、思った以上に効果がきつく出てしまい少々困っているのだよ。ゆっくり人が壊れていくところが見たかったのにこれではいけない。君が調整してくれるかね?」
そう言って手を差し出す彼に侑奈は瞠目した。体がわなわなと震えてくる。
「ひ、人を壊したいのですか? どうして? 教授はそんな方ではありませんでしたよね? 新薬の開発をしていると仰ったではありませんか」
「新薬の開発は隠れ蓑にすぎない。そんなものをつくっても大して金にもならんし名誉にもならん。それなら必要とされるところで役立てようと考えただけだよ」
「人を傷つけるものが必要とされるなんてあり得ません」
「花秋くんのような育ちのいいお嬢様には想像もつかないのだろうが、そういう場はいくらでもあるのだよ」
篠原はとても楽しそうに自分の構想を語った。殺傷力が高いものと低いものを作り、兵器として活用したいと……
さすれば大金が舞い込み、同時に地位と名誉が約束されると彼は言った。
(地位? 名誉? お金? そんなもののために多くの罪のない人を傷つけたの?)
「ただ壊すだけなら別に今のままでもいいんだが、生かして色々吐かせたいときなどにはこれでは困るのだよ。麻痺が重すぎて話せる状況じゃないんだ」
「だから私に微調整させたいと?」
「ああ、やってくれるかね?」
本当はどこかで何かの間違いではないのかと、思いたかった。信じたかった。思い出の中の彼は研究熱心で誰かを傷つけるような人ではなかったから。
侑奈の心に失望が広がっていく。侑奈はジッと彼を見据えた。
「嫌だと言ったら、教授は私をどうしますか?」
「そうだね、四肢を切り落として連れて帰ろうか。手足がなくとも君の知識さえ使えればそれでいいからね」
「……なんてことを」
「でも痛いのもつらいのも嫌だろう? 私も可愛い教え子を傷つけたくなんてないから大人しく従ってほしいけどね」
(狂ってる……!)
「分かりました……従います」
「いい子だ」
項垂れて従ったふりを見せると、篠原が喜んだので、その隙に侑奈は篠原めがけて渾身の力で体当たりをした。
「っ!」
バランスを崩した篠原が倒れ込む。そんな彼の上に馬乗りになって、彼の手から薬が入った小瓶を引ったくり、侑奈はこちらに向かってこようとする警備員に向かって叫んだ。
「動いたら教授にこの毒を飲ませます」
「ふ、ふざけるな! どうやら君は一度痛い目を見なければ分からないようだな」
篠原は小瓶を持つ侑奈の手を掴んで取り上げようとした。取られまいと必死に力を入れるが相手の力が強いので負けそうだ。侑奈はなんとか力を込めてぐぐぐ……と小瓶を彼の口元に押しつけようとした。そのとき、ものすごい強さに押し返されて、小瓶の中身がこぼれて篠原にかかってしまう。
「うわあぁあっ!」
「きゃあっ」
その瞬間篠原が叫び出し突き飛ばされる。彼は慌ててかかった薬を拭きながら叫んだ。
「なんてことをするんだ! これは毒だぞ!」
「だから何なの? 自分でつくったものなんだから、身をもって自分で試してみなさいよ! 多くの人の苦しみを知るといいんだわ」
「このくそ女! 殺してやる!」
途端、激昂した篠原に顔を殴られる。突如として走った鋭い痛みと衝撃に壁まで体が飛んだ。その瞬間、頭を強く打ちつけてしまう。
(……そういえば服用したときしか調べていないけど、皮膚に塗布した場合はどうなるのかしら)
篠原の皮膚が爛れたりするのだろうか、それとも服用したときと同じように麻痺が起きるのだろうか、そうなればいいのにと……侑奈が遠のく意識でぼんやり考えたとき、ドアがバンッと開く。
「侑奈、大丈夫か? 侑奈! おい、侑奈!」
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