鬼畜柄の愛撫シリーズ 番外編

Adria

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53.ロベルトの謝罪(シルヴィア視点)

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「ヴィア、まだ機嫌を直してくれないのかい?」
「…………」


 わたくしは寝具にくるまりながら、目だけを出して、ロブを睨みました。
 ロブはとても困ったお顔をしています。

「僕が悪かったよ。でも、本当に着物を燃やした訳ではないんだ。ただ……君が触るなと言うから……。カッとしてしまって……」


 ……!!?
 ロブは申し訳なさそうに、昨夜燃えたはずの着物を出しました。

 着物……。何故、此処に?


「どうして……?」

 わたくしは、ゆっくりと起き上がり……恐る恐るその着物を手に取りました。


「消して見せただけだよ。本当に燃やした訳ではない。僕だって、他国からの下賜品を燃やすほど愚かではないよ」


 そう、だったのですね……。
 良かった……。


 わたくしは、その着物をギュッと抱きしめました。


「だから許してくれるかい? 流石にやり過ぎたと反省しているよ……」


 …………。
 …………ロブは。

「……ロブは、最近のロブは……意地悪になりました。まるで、昔に戻ったかのようです。わたくしの気持ちを顧みてくれなくなりました……わたくしは、それが悲しいのです」


 わたくしが着物を抱き締めたまま泣き出すと、「すまない……」と小さく謝ったロブが、わたくしを抱き締めて下さいました。


「ロブは以前仰いました。わたくしの泣き顔を見ると興奮するというより、心苦しくなる気がすると……。わたくしには泣き顔よりも笑顔が似合うと……。あの言葉は嘘ですか?」
「嘘ではないよ。嘘ではないんだ……」


 わたくしを抱き締めながら、ロブは何度も「嘘ではないんだ」と繰り返しました。

 ならば、何故ですか?
 何故、あのように酷いことをするのですか?

 わたくしだって……意地悪なロブが嫌いな訳ではありません。寧ろ好きです。
 けれど……最近のロブは度が過ぎています。……このままでは、わたくし……ロブの何を信じれば良いのか分からなくなりそうです……。


「わたくし……少し疲れました……」
「すまない。近頃……苛立つ事が多いんだ。公務での苛立ちを君に当たるのは良くない事だと分かっているのに……、君がそれを受け止めてくれるから、つい甘えてしまうんだ」

 お仕事で苛立つ事が……?

 わたくしは申し訳なさそうなロブの顔を見上げました。

 そうですよね……。学院の管理、運営をしていた頃とは違い、外交という責任あるお仕事ですし……何よりも対外的な対応が求められます。その重責は考えられないものでしょう。

 それはストレスが溜まるかもしれません……。
 けれど……それでも……わたくしは……。

「ロブのお仕事が大変なのは分かっています。出来る限り、サポートをしたいとも思っています。けれど……こちらの国に来てからのロブは、あまりにも酷いです。わたくし……悲しいです……」
「そうだね。本当にすまない」


 ロブはわたくしをギュッと抱き締めながら、何度も優しく頭を撫でて下さいました。


「こんな事ではいけない事くらい分かっているんだ。今は兄上がほぼ動いてくれている。けれど、いずれは僕が全てを担わなければならない。本当は外交など、嫌いなのに……」

 けれど、ロブは「己で決めた事を、君に当たるのも……弱音を吐くのも間違えている事くらい……分かってはいるんだ」と、絞り出すように辛そうな声でそう仰いました。


「弱音は吐いて下さい。辛い事があったら、言葉にして下さい。あのように訳も分からず、苛立ちだけをぶつけられる方が、わたくしは嫌です。頼りないかもしれませんが、わたくし……話くらいなら聞けます」

 そりゃ、解決する事は出来ません。
 けれど……少しでもロブの心を軽くするお手伝いなら、何でも致します。だから、話して欲しいのです。


「辛い事があるなら、一人で抱え込まないで……」
「そうだね……次から、そうするよ。すまなかったね……」
「……分かって下されば良いのです」
 
 わたくしだって、喧嘩などしたくないのです。
 ずっと仲良くしていたいのです。


「ヴィア。お詫び、にはならないかもしれないけど、それを着て……街に行こうか? 和菓子を食べたがっていただろう?」
「和菓子……?」


 それはデートに連れて行って頂けるという事ですか?


「あと数日で帰国しなければならないから。最後にこの国で菓子を共に食べよう。思い出作りにもなるだろう?」
「は、はい!」

 嬉しい……。
 嬉しいのです……。

 その後、ロブは「最後の日に時間を作るから待っていてくれたまえ」と言って、お仕事に行きました。

 わたくしは、お仕事に行くロブを笑顔で見送りながら、浮き足立つ事が止められませんでした。先程までの沈んだ気持ちが嘘のようです。


 ロブは優しい……のです。
 勿論、それは分かっているのですよ。

 ただ、たまに……わたくしの心を無視する時があるのです。まるで、わたくしを人形のように扱う時があるのです……。
 そういう時のロブは……何を考えているのか分からなくて、とても怖い気が致します。

 でも、もう良いです。
 許して差し上げます。それよりも、折角のデートなのですから、楽しまなければ!


 ふふっ、わたくしったら調子が良いですね。
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