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夏休みが開けても、雅俊は理由をつけて一人で帰る。
それがもう当たり前となっていたため、俺もしつこく言うことはなかった。
そして帰り、気になった俺は倉庫に入った。
首のないマネキンが十九体。
つまり首のあるマネキンが残り一体となっていた。
俺はふと思った。
このマネキンの全ての首が亡くなったら、一体どうなるのだろうか。
数日後、倉庫に入ると全てのマネキンの首がなくなっていた。
俺はなぜかわからないが、背筋が寒くなった。
「おい、行くぞ」
朝、雅俊を迎えに行く。
しかし雅俊は出てこず、かわりに雅俊の母親が出てきた。
「うちの子、今日はちょっと調子が悪いみたいで」
「そうですか。じゃあお大事にと伝えてください」
一人で学校に向かう。
学校で先生に言われた。
「川田は休みか。じゃあおまえ、このプリントを届けてくれ」
俺はプリントを受け取った。雅俊に渡すための。
「ごめんください」
そう言うと母親が出てきた。
「雅俊君に渡すプリント。持ってきた……」
見れば母親は、真っ青な顔をしてぶるぶる震えている。
「どうしたんですか」
「雅俊が、雅俊が……」
俺は玄関を上がり、そのまま二階へ向かった。
そして雅俊の部屋に入った。
――!
雅俊は部屋の真ん中にいた。
そしてその周りを多くのマネキンの首がぐるりと囲んでいた。
そのマネキンの首は、全て雅俊の方を向いていた。
「やあ、来たね。喜んでよ。僕、こんなにいっぱい彼女ができたんだ」
何か聞こえる。
よく聞きよく見れば、雅俊のまわりにあるマネキンの首が一斉に「雅俊君、大好き」と何度もささやいていたのだ。
終
それがもう当たり前となっていたため、俺もしつこく言うことはなかった。
そして帰り、気になった俺は倉庫に入った。
首のないマネキンが十九体。
つまり首のあるマネキンが残り一体となっていた。
俺はふと思った。
このマネキンの全ての首が亡くなったら、一体どうなるのだろうか。
数日後、倉庫に入ると全てのマネキンの首がなくなっていた。
俺はなぜかわからないが、背筋が寒くなった。
「おい、行くぞ」
朝、雅俊を迎えに行く。
しかし雅俊は出てこず、かわりに雅俊の母親が出てきた。
「うちの子、今日はちょっと調子が悪いみたいで」
「そうですか。じゃあお大事にと伝えてください」
一人で学校に向かう。
学校で先生に言われた。
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「ごめんください」
そう言うと母親が出てきた。
「雅俊君に渡すプリント。持ってきた……」
見れば母親は、真っ青な顔をしてぶるぶる震えている。
「どうしたんですか」
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俺は玄関を上がり、そのまま二階へ向かった。
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