真っ赤な上履き

ツヨシ

文字の大きさ
上 下
1 / 1

しおりを挟む
学校に行き、上履きに履き替えようとした時に、「えっ」という声が聞こえた。
同じクラスのまさみだった。
「どうしたの?」
「これ」
うちの学校の上履きは一年生が白、二年生は黄色、三年生は青と決まっている。
だがまさみが取り出した上履きは真っ赤だった。
こんな上履きは見たことがなかった。
「なにこれ?」
「どうしよう。でもほかに上履きはないし」
ほかの人の上履きを勝手に使うわけにもいかない。
まさみは赤い上履きを履いた。
もちろんそれはみんなの注目を集めた。
先生も。
最終的には先生が予備の上履きを持ってきた。
それにしてもわからないのは、こんな上履きを誰がどこから持ってきて、まさみの上履きとすり替えたのか。
先生が犯人捜しを始めたが、結局犯人は見つからなかった。
そして次の日、まさみは中学校へ来なかった。
前の日の夜から行方不明になり、両親はもちろんのこと、警察まで動員して探したのだがいまだに見つからないという。
まさみに関しては先生から「不審者の目撃情報があるので、みんなも充分気をつけるように」と話があったが、それだけで終わってしまった。
不審者の目撃情報は、随分前の話なのだが。
そして数日が過ぎた頃、学校へ行って上履きに履き替えようとしたところ、近くで「ええっ!」という声が上がった。
見れば隣のクラスの女の子だった。
名前は確か片山だったか。
そしてその手には真っ赤な上履きがあった。
翌日、隣のクラスの片山という生徒が行方不明になったと先生が告げた。
その後、休みが明けて翌週になったある日、私が学校に行き上履きに履き替えようとすると、その上履きが真っ赤に染まっていた。

       終
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...