ルナティック

ツヨシ

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「どうだ」

「どうもこうも、前の二回と同じですね。違うとすれば叩きつけられたのが電柱と言うことですか。その電柱は写真しか見ていませんが、大きな亀裂が入ってあやうく折れて倒れるところだったみたいですね。人間は骨はそれなりには硬いですが、肉もありますし、決して鉄や石じゃない。その人間をたたきつけて電柱をここまで破壊することなんて、人間の力では全く無理ですね」

「身体はどうだ」

「あっ、身体ですか。頭蓋骨が割れて砕け、脳みそが一部外に飛び散っているみたいですね。肋骨は全滅で、内臓も身体の上部に行くほど損傷が大きいようです」

「どうして身体の丈夫のほうのダメージが大きいんだ?」

「右足首の少し上になにかでつかまれたような痕がありますね。前にも言いましたが、人間の手としては少し小さいですけど。ここをつかまれて電柱に叩きつけられたんです。つかまれていた部分の骨は折れています。頭から叩きつけられたために、身体の上部ほど損傷が大きいのです。下半身は電柱に触れてすらいません」

「そうか……」

「まあ、こんなところですかね。死亡推定時間などの細かいところは、あとで文書で提出します」

「わかった。そうしてくれ」

そう言うと権藤は検死官のもとを去った。


数日前から盛り上がっていた。

特にマスコミが。

テレビではニュースなのかバラエティなのかよくわからない番組で、かなりの報道がなされている。

それは数日後に迫った満月の夜に、四度目の理解不能な殺人事件が起こるかどうかということだ。

マスコミだけではない。

警察もたいそうな力の入れようで、満月まではまだ数日あるというのに、昼間から警察官が何人もうろうろしていた。

その上マスコミ、それに加えて野次馬が押し寄せてきたものだから、普段は静かな住宅街がちょっとした繁華街なみの人出となっていた。

警察は野次馬を追い出し、マスコミにきつく注意を促して、住民には夜間の外出を控えるようにと一軒一軒声をかけてきた。

もちろん雨宮の家にもやってきた。

それなりの対応をすると、警察官は言うべきことを言って、その場を去った。
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