村の愛玩動物

ツヨシ

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――これはいったい、どういうことだ?
激しく叩いた手に痛みを感じながら、北川は戸惑っていた。
まさかこんなところに閉じ込められるなんて。
思ってもみなかった。
これから俺は、いったいどうなるんだ。
どうすればここから出られるんだ。
北川はとりあえず周りを見わたした。
入り口付近に一つだけあるか細い明かり。
それほど離れてはいないであろう奥の壁もよく見えない。
ここは一体なんだと考えながら見ていると、少し目が慣れてきた。
壁は全て鉄製で、床には真っ赤なじゅうたんが敷き詰められている。
広さは三十畳ほどだろうか。
見える範囲では何も見えないし、何も聞こえてこない。
名物と言うものがあるというのなら、それはいったいどこにあると言うのか。
――うん、あれは?
川北がいる入り口の反対側、
一番奥の床の上になにかが見えてきた。
よく目を凝らしてみると、それは外国の映画で見たことがあるものだった。
――棺桶!
それは西洋式の棺桶だった。
この建物の中に唯一あるものが、棺桶なのだ。
――なんで棺桶なんかがここにあるんだ?
北川が棺桶をじっと見ていると、突然上から強烈な視線を感じた。
今までに経験したことがない、文字通り刺すような鋭い視線だ。
――なんだあ?
北川は上を見上げた。
高い天井には光がほとんど届いておらず、よくは見えなかったが、天井に黒い人影が張り付いているのはわかった。
――ええっ?
するとその人影がゆっくりと、ふわりと降りてきた。
そして北川の前に立った。
古風なタキシードを着て黒いマントを羽織ったやけに背の高い男。
その顔は西洋人のもので、顔色が不自然なほどに白く、生気と言うものがまるでなかった。
それなのにその眼は燃えているかのように真っ赤だ。
――なんなんだ、こいつは。
天井からゆっくり降りてきた奇妙な男。
その男が大きく口を開けた。
その口には、上に二本の長い牙が生えていた。
――!!
北川は気づいた。
この男は信じられないことだが、吸血鬼なのだ。
聞こえてきた村で飼っているペットと言う言葉の意味。
それはこの村では吸血鬼を飼っていると言うことなのだ。
そして今、北川はそのペットの餌にされたのだ。

       終
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