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私は川沿いにある古いマンションに一人で住んでいたが、自分の部屋から河川敷がよく見えた。
夏になると、夜に河川敷で花火をする人がいた。
その辺のお店で売っているさまざまな種類の花火だ。
親子連れだったり、若者のグループだったり。
マンションの住人の中には「うるさい」だとか「あと片付けをしない」と文句を言う人もいたようだが、河川敷での花火が禁止という話にまではいかなかった。
そんなある日、ちょうど世間はお盆休みのころのことだった。
その日はあいにくの雨で、けっこう激しく降っていた。
夜に雨が気になった私は、カーテンを開けて外を見た。
すると河川敷に明かりが見えた。それは花火だった。
――えっ?
どしゃぶりの雨の中で花火をする人なんていない。
そもそも花火に火がつかないはずだ。
私は目をこらして見たが、それはどう見ても見慣れた花火で、おまけにそばに人影が見当たらなかった。
暗いし雨も降っていたが、花火の明かりがあるのにそれを手で持っているであろう人影が見当たらないのはどう考えても不自然だ。
そのまま見ていると、その花火のまわりに同じような花火が現れた。
その数は十を超えているだろう。
大雨の中、ゆらゆらとゆれている。
私は目をそらすことができずに、そのまま見続けた。
やがて最初の花火が消え、周りの花火も消えた。
花火が見えなくなっても私はそのまま外を見ていた。
次の日マンションを出たところで隣の矢島さんにあった。
矢島さんは初老の独身で、このマンションに三十年以上住んでいる人だ。
私は思い切ってゆうべのことを矢島さんに言ってみた。
すると矢島さんがいつもよりも小さな声でゆっくりとかみ締めるように言った。
「お盆だからねえ。そんなこともあるよ。お盆だから。でもその花火、じっと見続けてはいけないよ。よくないね。ほんと、よくないから」
矢島さんはそういうと足早に立ち去った。
その日も激しい雨だった。
夜になり、私は矢島さんが言っていたことも気がかりではあったが、雨も気になっていたのでカーテンを開けた。
雨は相変わらず激しく降り続いている。
川の水位もどんどん上がっていっているようだ。
河川敷の一部が水没しているのが暗い中でもわかった。
すると三階にある私の部屋の窓のすぐ外で、花火が光りだした。
――!
そのまま身動きがとれずに見ていると、最初の花火のまわりにいくつもの花火が現れ、やがて全て消えた。
終
夏になると、夜に河川敷で花火をする人がいた。
その辺のお店で売っているさまざまな種類の花火だ。
親子連れだったり、若者のグループだったり。
マンションの住人の中には「うるさい」だとか「あと片付けをしない」と文句を言う人もいたようだが、河川敷での花火が禁止という話にまではいかなかった。
そんなある日、ちょうど世間はお盆休みのころのことだった。
その日はあいにくの雨で、けっこう激しく降っていた。
夜に雨が気になった私は、カーテンを開けて外を見た。
すると河川敷に明かりが見えた。それは花火だった。
――えっ?
どしゃぶりの雨の中で花火をする人なんていない。
そもそも花火に火がつかないはずだ。
私は目をこらして見たが、それはどう見ても見慣れた花火で、おまけにそばに人影が見当たらなかった。
暗いし雨も降っていたが、花火の明かりがあるのにそれを手で持っているであろう人影が見当たらないのはどう考えても不自然だ。
そのまま見ていると、その花火のまわりに同じような花火が現れた。
その数は十を超えているだろう。
大雨の中、ゆらゆらとゆれている。
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やがて最初の花火が消え、周りの花火も消えた。
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雨は相変わらず激しく降り続いている。
川の水位もどんどん上がっていっているようだ。
河川敷の一部が水没しているのが暗い中でもわかった。
すると三階にある私の部屋の窓のすぐ外で、花火が光りだした。
――!
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