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この場合、願い事があるのは蘭子のほうなので、蘭子が因番鬼様に話しかける。
「因番鬼様、因番鬼様。私を芽瑠瀬出素君の彼女にしてください。お願いします」
すると十円玉が二人の指といっしょに、物凄い勢いで「いいえ」のところに移動した。
私は指に力を入れていなかったので、何の疑いもなく蘭子が十円玉を動かしたのだろうと思った。
しかし欄子を見てみると、その顔は「おまえが十円玉を動かしたんだろう」と言っていた。
二人でお互いの顔を見つめ合っていたが、やがて二人ほぼ同時に十円玉を元の位置に戻した。
蘭子が一息ついた後、再び言った。
「因番鬼様、因番鬼様。私を芽瑠瀬出素君の彼女にしてください。お願いします」
蘭子が言い終えた途端、再び十円玉が、いいえに移動した。
二人の指をのせたままで。
「ちょっと、蘭子。あんたが動かしているんでしょう。しかもよりによって、いいえのところに。芽瑠瀬出素君の彼女になりたいんじゃないの。なに考えてんのよ、まったく」
「私は動かしてないわよ。はるかが動かしているんでしょ。だいたい私がいいえのところに動かすわけがないじゃないの」
私は蘭子の目を見ながら言った。
「そう。そう言うんならもう一度やってみる。そうすればわかるわ」
蘭子は怪訝な色をその顔に浮かべた。
どうやら私が言っている意味が、よくわかっていないようだ。
でも少しきつめの口調で答えた。
「わかった。もう一度やるわよ。いいわね」
蘭子は十円玉を戻した。
「因番鬼様、因番鬼様。私を芽瑠瀬出素君の彼女にしてください。お願いします」
「因番鬼様、因番鬼様。私を芽瑠瀬出素君の彼女にしてください。お願いします」
すると十円玉が二人の指といっしょに、物凄い勢いで「いいえ」のところに移動した。
私は指に力を入れていなかったので、何の疑いもなく蘭子が十円玉を動かしたのだろうと思った。
しかし欄子を見てみると、その顔は「おまえが十円玉を動かしたんだろう」と言っていた。
二人でお互いの顔を見つめ合っていたが、やがて二人ほぼ同時に十円玉を元の位置に戻した。
蘭子が一息ついた後、再び言った。
「因番鬼様、因番鬼様。私を芽瑠瀬出素君の彼女にしてください。お願いします」
蘭子が言い終えた途端、再び十円玉が、いいえに移動した。
二人の指をのせたままで。
「ちょっと、蘭子。あんたが動かしているんでしょう。しかもよりによって、いいえのところに。芽瑠瀬出素君の彼女になりたいんじゃないの。なに考えてんのよ、まったく」
「私は動かしてないわよ。はるかが動かしているんでしょ。だいたい私がいいえのところに動かすわけがないじゃないの」
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でも少しきつめの口調で答えた。
「わかった。もう一度やるわよ。いいわね」
蘭子は十円玉を戻した。
「因番鬼様、因番鬼様。私を芽瑠瀬出素君の彼女にしてください。お願いします」
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