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幸田さんの奥さんが死んだのは、先月の末。
とすればあの足音の主は、母親を探しているのではないのだろうか。
今は家からいなくなってしまった母親を。
そう考えると、なんだか物悲しくなってきた。
その後、大村さんところの小学生が、キュッキュッと言う足音を聞いたと言い出した。
澤部さんところの女の子と同い年の男の子だ。
私はその後もキュッキュッを何度か耳にしたが、私が高校に入学する頃を境にして、全く聞こえなくなった。
あとの二人はまだ聞こえていたようだが、その二人も高校入学の前後から聞こえなくなったそうだ。
私は高校卒業後に県外の大学に入り、大学を卒業すると地元の会社に就職をした。
その後母が病気で亡くなり、父と二人で住んでいたが、やがて彼女が出来て結婚をし、妻と三人で住むようになった。
そして可愛い女の子が生まれた。
私はその子を美真と名づけた。
美真が三歳になったばかりのことだ。
夕方に二人して家に帰ろうとしていたとき、美真が突然ちょこちょこと走り出した。
「おい、どうした?」
美真はそれに答えず、私の家の前を通り過ぎ、そして止まった。
「おい、美真?」
私が近づくと、美真は前方をくいいるように見つめながら言った。
「パパ、聞こえるよ。キュッキュッって音。この音、なに?」
私は理解した。
母親どころかもう父親すらもいないというのに、あの子はまだここにいて、今も母親を探しているのだということを。
終
とすればあの足音の主は、母親を探しているのではないのだろうか。
今は家からいなくなってしまった母親を。
そう考えると、なんだか物悲しくなってきた。
その後、大村さんところの小学生が、キュッキュッと言う足音を聞いたと言い出した。
澤部さんところの女の子と同い年の男の子だ。
私はその後もキュッキュッを何度か耳にしたが、私が高校に入学する頃を境にして、全く聞こえなくなった。
あとの二人はまだ聞こえていたようだが、その二人も高校入学の前後から聞こえなくなったそうだ。
私は高校卒業後に県外の大学に入り、大学を卒業すると地元の会社に就職をした。
その後母が病気で亡くなり、父と二人で住んでいたが、やがて彼女が出来て結婚をし、妻と三人で住むようになった。
そして可愛い女の子が生まれた。
私はその子を美真と名づけた。
美真が三歳になったばかりのことだ。
夕方に二人して家に帰ろうとしていたとき、美真が突然ちょこちょこと走り出した。
「おい、どうした?」
美真はそれに答えず、私の家の前を通り過ぎ、そして止まった。
「おい、美真?」
私が近づくと、美真は前方をくいいるように見つめながら言った。
「パパ、聞こえるよ。キュッキュッって音。この音、なに?」
私は理解した。
母親どころかもう父親すらもいないというのに、あの子はまだここにいて、今も母親を探しているのだということを。
終
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