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ゲーム:前日譚

26:王城

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 その後、朝のお祈りと朝食を済ませると、うまい具合に、王城から迎えの馬車が到着した。

 あんな瘴気モザイクだらけの城には足を踏み入れるどころか近づくのさえ嫌だけど、お城で勇者パーティーと合流するという重要なイベントがあるため、行かざるを得ないのである。

 私とユリナス達は促されるまま迎えの馬車に乗り込み、お城に向かった。お城の検問を通り抜けると、城郭内は瘴気だらけで、馬車はそれをかき分けながら進んで行く。私たちは見えるところは片っ端から浄化していたので、馬車が駐められた頃には私もユリナス達もちょっと疲れぎみだった。

 しかしそれだけで終わらなかった。

 城郭内で働く騎士や使用人達の肌の露出度がすごい事になっていた。

 騎士は男も女も防御力度外視のビキニアーマー。

 使用人は男はホットパンツに上半身裸でサスペンダーをつけているだけだし、女もノースリーブどころか襟だけの、これでもかと胸の谷間と乳房の上半分を強調したブラウスで、へそ出しで超ミニスカートに素脚でパンちらどころかパンもろである。

 で、みな一様に股間から瘴気を垂れ流している。ぉぇっ。

 いい加減、浄化にも疲れたので、何もせずに黙って使用人に導かれるままに城内を歩いて、王の執務室へと歩いていく。途中、通路の陰でやりあってる男女を何組かみかけたりもした。ぅゎぁ…。

 王の執務室に入ると、瘴気は他の場所よりはいくぶんましではだったが、私達は早速室内を浄化した。あとで、浄化手数料を教会から請求してもらおうかな…。

 部屋の中には執務机の席についている国王とおぼしき人物、部屋の中央の長机の席に座っているのは大臣達だろうか。

 そして、壁に背を向けて並んで立っている数名の男女がいた。

 …っていうか、お父さんディックが当たり前のように一緒に並んで立っていた。

「お父さん!?」

「テリア。久しぶり。元気そうで何より。」

「今までどこほっつき歩いてたの!?」

「テリア、なんか言い方が酷くない!?」

 ユリナスが咳払いを一つして言った。

「ディックを問い詰めるのは後回しにして、まずは魔王討伐隊の話からじゃな。」

 ユリナスに促されて、私たちも長机の席に座った。

「まず、勇者はディックにやってもらう。」

「え、アニスじゃないの?」

 思わず私は聞き返してしまった。それにユリナスが答える。

「ほお、ユーテリアはアニスを知っとるのか。あ奴の腕も確かじゃが、ディックの方が上だしの。それにユーテリアも気心の知れた身内の方が安心じゃろ。」

 ここでユリナスは少し間をおいてから続けた。

「そういうわけで、魔道師はわしじゃ。」

「バニラは?」

「何でバニラの事まで知っとるんじゃ。バニラも素晴らしい魔法使いじゃが、いかんせん、魔王の殲滅をするには魔力が足らん。」

 ああ、そういえばゲームでも、魔力を他のパーティーメンバーにもらいながら魔法を使ってたな。バニラの魔力が少なかったからなのか。

「…私は、お父さんとユリナス様が一緒に来てくれるんなら、これほど心強い事はないけど…。」

 ゲームと面子が全然違っちゃってるけど、いいのかな…。

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