テイマー職のおっさんが目指す現代ライフ!

白眉

文字の大きさ
7 / 17

第7話 テイマーとしての仕事

しおりを挟む
黒い奴(ネコ)にブラックと名付け、耕さんを交えながら話をしようとすると、ベンチの脚の部分から小さな生き物がチラチラとこちらを見ている。

 もう一度、その小さい動物にテイムをかけると、こちらに寄って来て掌にちょこんと座った。

「えと…。私たちもお相伴にあずかりたいのですが…。」
「俺達はネズミと一緒に飯を食うのか!?」

ブラックは毒づくが、何故か敵意は感じられない。

「お!いさくさん、ト〇とジ〇リーだな。」

 すえさんがにっこり笑いながら近づいてきた。

「いさくさんはすげえな。
 カラスにネコにネズミを手なずけるなんて。」

 小さき者にシロと名付け、皆と話し合うことにする。

「で、いさくさん、テイムだっけ?
 ネコとネズミに、食事を上げる代わりに何をしてもらうんだ?」
「だよな。
 ネコはネズミを捕まえるんだよな。でも、いさくさんは両方をテイムしているから…。」

「なぁ、ブラック?
 なんでシロたちを捕まえるんだ?」
「あ?そりゃ、楽しいからだぞ。」
「別に食べる訳じゃないんだな?」
「あぁ。」
「なら、ブラックたちはネズミを捕って食う訳じゃないから、別に良いか。
 耕さん、ネコに何をさせれば良いかな?」
「そうだな…。この街の見回りが良いかな。」
「見回りって、警備するような感じですか?」
「まぁ、そんなもんだ。
 悪い事をする人間なんてゴマンといるからな。
 学校帰りの子供たちにいたずらする奴や、女の下着を盗んでいく奴もいるからな。
 町中で監視してくれればいいだろ。」
「んじゃ、そうしようか。
 ブラック、仕事内容が理解できた?」
「問題ない。毎日食事がもらえりゃ、そんな事容易いことだぞ。じゃ、今日から早速取り掛かるが、飯食っていいか?」
「あ、いいよ。それじゃお願いするよ。
 あとは、シロたちだが…。」
「ネズミは小さいところとかにも入れるから、土管のチェックもできるな。」
「土管?」
「あぁ。下水溝や排水溝といった溝にゴミが溜まると溢れてしまうんだよ。
 それを取り除いてくれたり、家の中にいるGを駆逐するってのも有だな。」
「耕さん、Gって?」
「あ?いさくさんゴキブリを知らないのか?
 えぇと…、ちと待っとれよ。」

 耕さん、公園にある四角い鉄の箱の傍に行き、籠のようなモノの下を探している刹那、地面を叩いた。
 そのスピードたるもの、A級冒険者の剣捌きに匹敵する速さだった。

「これだよ。これ。」

 耕さんが見せてくれたのは…。
まごうこと無きクローチ…。こいつはこの世界にまで侵攻しているのか。
恐るべし、クローチ!

「こいつがGだ。」
「この世界にもいるのか…。」
「こいつらは、はるか昔から生きている奴だ。で、こいつらの駆逐はネズミには出来んか聞いてみてくれ。」

「シロ、あいつらを駆逐することは可能か?」
「問題ないですね。でも、死骸はどうします?
 その場に置いておくと、あいつら死に際に卵産むんで増えますよ。」

耕さんに尋ねてみると、昔はどの家でも燃やしていたが、燃やすことができなくなったから、ゴミとして出すのが良いとの事だ。

「であれば、俺が管理していくアパートでゴミとして出せば問題ないかい?」
「いさくさんが、それをしてくれればうまくいくね。
 それじゃ、ネズミは土管とGの駆除で行きましょう。」

ブラックたちの食事も終わり、トレーの中にはまだまだある。

「シロ…。これだけの量、食べることは可能か?」
「大丈夫です。私たちは大家族ですから。
 でも、ブラックさん達が公園から出ない限り、私たちはトレーにも行けません…。」

それじゃという事で、ブラックたちに監視を行ってもらい、次にシロのグループに食事をしてもらう。

「みんな、ご飯だよ!」

 うわ!なんだ!この数…。
何時の間にこんな数のシロの仲間が居たんだろうと思うくらいの数だ。
もはや数えられない。
それに、早い!
もうすぐトレーの中身が無くなる…。





「みんな、食べることはできた?」
「はい。ありがとうございます。では、私たちも清掃とGの駆除に行ってまいります!」

シロの仲間が一気に散って行った。

「なぁ、いさくさん、あんたすげえな。
 カラス、ネコ、ネズミ…。そいつらを手なずけ、区の安泰をはかるって、並大抵の人間じゃ思いつかないぜ。」
「そうは言っても、テイムしたからには、彼らにも仕事をしてもらうのが良いですからね。」
「いさくさん、それをウィン・ウィンって言うんだ。」
「そうなんですね。ウィン・ウィンですか。
 でも、耕さん達には何も良い事はないですけど?」
「ん?あるよ。現に弁当もらったからな。これで十分だ。」
「そうですか。それなら良いんですけど。」

緑のトレーを水道で洗い、リヤカーに乗せる。

「あ、そうだ。
 このリヤカーってどうしたんですか?」
「あ、これか?
 これは、俺達から、いさくさんへのプレゼントだ。使ってくれな。」
「でも、こんな凄いものもらってしまっても…。」
「いいんだよ。俺達は既に持ってるから。
 明日から、面倒だけど頑張れよ。まぁ、時間があれば俺達も手伝ってやるからな。」

「みなさん、ありがとうございます。」

 すごく嬉しかった。
こんなにヒトが親切にしてくれることなんて、今まで無かった。
耕さん、すえさん達…、みんなに感謝だ。
それに、ここには居ないソメノさん…。彼女にも感謝する。

 5時、すべての作業を終え、アパートに戻る道中、ソメノさんが走ってやって来た。

「イサークさーん。すみません。起きれませんでした。」
「ソメノさん、おはようございます。
 大丈夫ですよ。すべてうまくいきました。」

 コンビニでの収集、クロー達への食事、ブラックとの出会い、そしてテイムからの監視、シロへのテイム、そして土管の清掃とGの駆逐…。
話題が多すぎて、どう説明したのかも忘れてしまったが、ソメノさんは終始目を輝かせて聞いてくれる。

「ゴミ集配場の監視、不審者への警戒、下水道清掃、宿敵Gの駆逐…。
 イサークさんは、わずか一日の間に、今まで誰も成し遂げることが出来なかった行政課題をクリアしてしまったんですか?」
「いや、その行政課題というモノが何たるものかは知らないんだが…。」
「偉業ですよ!」
「あとは、アパートの管理もやってくれれば。」
「あ、それは問題なくできるから安心してくれ…ください。」
「もう!普通でいいんですからね。
 それじゃ、アパートに戻って、朝食食べましょう。」
「あ、ごめん…なさい。
 コンビニでお弁当もらって来たから…。」
「ええええーーーーー!
 もう!イサークさん、明日からはもらっちゃダメですよ。
 私が朝食を作りますからね!」
「はい…。」

 ソメノさんが赤面して言ってくれる。
まぁ好奇心なんだろう…。こんな冴えないおっさんだからな。





 朝午前6時からソメノさんのレクチャーは流石に厳しかった。
燃えるゴミと燃えないゴミの分別から始まり、ゴミ出しのルール、草刈りなどの周囲の環境美化…それはそれは事細かに教えてもらった。

 おかげで、どんな素材でできているのかまで理解できた。
その石油というものがどんなものかは知らないが、さながら万能薬のようだ。
トレーになったり、袋になったり、はたまた衣類まで出来るようだ。
今度見つけたら、俺好みの装備に加工してもらおう。

 そんな事を考えながら、アパートの周りを掃除しているとシロたちが帰って来た。

「イサーク様、早速駆逐してきたものをお見せしたいのですが…。」
「お、おぅ。シロありがとな。で、どれくらいいるんだ?」
「まだまだ居ますね。あいつらはしぶといですから。」

 いきなり壁にぶつかった…。
シロたちが持ってきたG…、既に500は越えている。

 目下、ゴミ出しの日までGを如何にゴミ袋に入れ保管しておくのか検討中…。
良い方法は無いだろうかと、ソメノさんに相談したら、一目散に逃げられてしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった! 「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」 主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

処理中です...