地方公務員のおっさん、異世界へ出張する?

白眉

文字の大きさ
41 / 318
第三章

3-1 森へ~行き~ましょう~ディートリヒさん♪ HOHO

しおりを挟む
 おはようございます。

昨晩は足が痺れてよく寝れませんでした。

…ごめんなさい。嘘です。
隣で寝ているディートリヒさんが気になって眠れませんでした。
おっさんウブですから、当然、朝チュンもありません。

 俺が座っている横で可愛い寝息を立てているディートリヒを見る。
彼女にとって、これまでの“翌日”という存在は、悪夢の継続を意味していたのかもしれない…。
しかし、今日からは新たな生活が始まる。
自己満足と言われようが構やしない。俺は俺の生き方の中で彼女を笑顔にしていく。

考え事をしていると、ディートリヒは目を覚ます。
俺の顔を居るや否や毛布で顔を隠してしまった。

「ご主人様、恥ずかしいです。」

おうふ! 俺も恥ずかしいですよ。
はるか数十年前にもこんな事があったのかはもう覚えていないが、青春っていいなぁ~と思う。

「さて、ディートリヒ、今日から薬草採取に行くから付き合って。」
「はい。ご主人様の行くところはどこでもついていきます。」

 いや…、流石にトイレはイヤですよ…。

 お互い服を着替え、1階の食堂に行き、マリベルさんに朝食を2名分頼む。
温かいハーブティーを飲みながら、これから行く場所の概要を伝え、俺を護衛するため魔物を倒してほしい事を説明する。

「任せてください。では、ご主人様が安心して薬草を採っていただけるよう、周りに気を付けます。
 それと、倒した魔物は如何にすればよろしいでしょうか。」
「うん。一応剥ぎ取りができれば魔石や素材を採って欲しいんだけど、剥ぎ取りはできる?」
「ひととおり騎士学校で習いました。」
「良かった。自分、剥ぎ取りができなくて…、ごめんね。」
「いいえ、少しでもご主人様のお力になれれば嬉しいです。」

 ディートリヒさん、フンスカしてる。

「ディートリヒ、あまり無理しちゃいかんよ。」
「何故ですか?ご主人様を守ることが私の使命ですが。」
「いや…。言い換えるね。あまり頑張りすぎちゃいけないよ。危なくなったら二人で逃げる。それで十分だからね。」
「はい…。」
「自分自身の能力を知っている事は、時として最高の武器になるんだよ。無理だと分かれば早めに撤収・退散する。それで十分なんだよ。」
「分かりました!全力で逃げましょう!」
「そうそう。それで十分だよ。」

 朝食が運ばれ、ディートリヒと一緒に食べる。
独りで食べる食事よりも、ディートリヒと二人で食べる食事は格別だ。

「そう言えば、二人きりで食事をとるのは今日が初めてだな。」

 独り言ちするが、その言葉を聞き、ディートリヒは赤面する。

「ご、ご主人様と、ふ、二人でっ…」

 あ、しまった…地雷埋めちゃった…。

「いやいや、これから毎回二人で食べるからね。」
「ふ、二人で…。」

 あかん…、これ完全に残念娘になるパターンだ…。
ディートリヒ・ワールドのゲートが開きかけている。話題を変えないと…。
 
「そ、そう言えば、最近魔物の状況が変だから十分注意してね。」
「え、それはどういう事ですか?」

 よし!ワールドからの強制送還を成功させた。
俺はコックスさんに話した内容を彼女に伝えた。

「そうですか…。私はダンジョンの事はよく分かりませんが、何事もなければ良いですね。」
「そうだね。まぁ、自分たちにはあまり関係の無い話だと思うから、ギルドからの情報を待とう。」

 食事を終え、依頼を受けにギルドまで歩いていく。

「足とか身体の具合はどう?」
「問題ございません。しっかりと動けます。」
「まぁ、ぼちぼちとリハビリ兼ねてゆっくりやっていくからね。」
「はい。それと、ご主人様、一つご質問があるのですが?」
「ん?何?」
「魔獣や魔物を討伐した際の素材などは、その都度ご主人様に持ってこれば良いですか?」

 あ、忘れてた。

「それじゃ、そこの雑貨屋でディートリヒ用のバッグを買おう。」
「はい。」

 俺たちは、雑貨屋に入り、アーマードレスに合うウェストポーチのようなバッグを購入し、それを彼女に持たせた。

 ギルドに到着し、いつもの依頼を受ける。
ギルドに居た冒険者からは、「新婚旅行か?」「婚前旅行だろ?」「いや、犯罪だわ。」とか揶揄われたが、皆笑いながら見送ってくれた。
 うん。何度も言うが、キャラクターづくりと人脈づくりは必要だ。

 道中、ディートリヒの戦闘スタイルについて聞く。
基本剣なので近接し相手を倒す。採取中はこれで問題ない。
彼女に索敵ができるか聞いてみたが、残念ながらスキルや魔法は持っていないようだ。
彼女自身もマナは少ないと言ってるが、測ったこともない上に魔法も覚えたことが無いとの事。
ただ、騎士なので防御系の何かがかかるようだ。今度、レルネさんのところで測ってもらおう。
できれば、何かの魔法が使えた方がいいんじゃないかとは思うが、魔法を覚えるにはどうしたら良いか分からないので、これもレルネさんに聞こう。

あとは、会敵した場合に備えても考えておく。
俺が遠距離から敵にダメージを与え、彼女がとどめを刺すというスタイルで確定だな。

ようやく森の入り口に到着した。

「んじゃ、さっき渡したバッグを見せてね。」

ディートリヒに買ってあげたバッグを手に取り、収納魔法をかける。
大きさは、そうだな…。俺のビジネスバッグより大きなものにしておけば、たくさん素材を入れることができるな。ならば5間分(9m)の立方体で、重さは2,000kgにしておこう。
バッグ9mの立方体と重さ、そしてバッグには俺とディートリヒにしか出し入れできないよう収納と付与魔法をかける。

 うわ、毎度のことながらマナがごそっと抜け取られる感じには慣れない。
ディートリヒさん…、おれの魔法を見て硬直してます…。

「あの、ご主人様、今の魔法は…。」
「あぁ、これね。これは収納魔法というか、付与魔法というか…。俺独自の魔法らしいんだ。
今、このバッグの中身は、5間四方の大きさを収容できるようになった。重さは2,000㎏ぐらいかな?正直こちらの単位が分からないから許してね。」
「いえ、そういう訳じゃなくて…その魔法とバッグの凄さです。」

 聞けば、アイテムボックスのついたバッグは小さくても金貨5枚以上で取引されるらしい、そんじょそこらに出回る商品では無いらしい。それをいとも簡単に作成するヒトを見たことが無いと興奮しながら言っている。
しかしなぁ…、具体的なイメージを思って念じただけなんだが…。

考えてはダメなので、

「渡り人だからね。」

 サムズアップする。
その一言でディートリヒは納得した。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

金髪女騎士の♥♥♥な舞台裏

AIに♥♥♥な質問
ファンタジー
高貴な金髪女騎士、身体強化魔法、ふたなり化。何も起きないはずがなく…。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...