地方公務員のおっさん、異世界へ出張する?

白眉

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第四章

4-25 ダンジョン探索の準備

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翌朝、俺たちは目覚める。
今日からダンジョンに行くが、その前に野営に必要なものを準備し、ナズナを冒険者登録しなくては。
冒険者ギルドはちゃんと機能しているかな?

 ナズナもちゃんと起きてダンジョンに向けて準備している。
全員で下に降り朝食を摂る。
部屋が4階になったことで階段の昇り降りが余分になり膝が痛くなるよな…なんて思うが、最近そんな関節痛が起きない…。やはりダンジョンまでのウォーキングが功を奏しているのだろうか?

 先ずは雑貨屋で5人くらい入ることができるテントと魔導石で動く携帯用コンロ、毛布類を買う。
これまでの世界でもキャンパーだったので、それに合わせケトルや鍋、皿、フォークなどのキャンピンググッズ、床几のような椅子、テーブル…ターフも欲しいななどと店員さんと話しながらホイホイと買っていく。傍でディートリヒとナズナが呆けて見ている。

「カズ様、ダンジョンへ行くんですよね。それがどうしたらこのような荷物になるんでしょうか…」
「そりゃ、ダンジョンを楽しむためだ!大自然の中、ダンジョンの中でのキャンプ生活、
ん~ワクワクするね!それにな、風呂桶持って行けばダンジョンの中で露天風呂にも入れるかもしれないぞ。」
「え、露天風呂ですか! 必要なものはどんどん買いましょう!」
「そうこなくっちゃ、それでな。ててててっててぇ~♪。『ダンジョン用キャンピングバッグ』~」

 猫型さんみたいに出したが、スベった…。
しかし、素材集め用のバッグは良いアイディアであり、何ならナズナにも渡しておくと良いとアドバイスされた。
 そんな姿を見て、ナズナは俺たちの姿を見て少し心配している。

「ご主人様、そんな浮ついた気持ちでダンジョンに入りますとケガしますよ。」
「まぁ、大丈夫だって。一回入ってるから何となくイメージできているし、『ばっちぐー』だよ。」
「はあ?『ばっちぐー』ですか…。」

 あ、完全に引いたな…。
でも、今回のダンジョンでうまい飯を披露してやることにしているから、楽しみにしておけよ。
と一人ニヤニヤする。

 キャンプ、もといダンジョン探索用グッズを購入し、ようやく出回り始めたパンを少し購入し、冒険者ギルドへ行き、ナズナの冒険者登録と採集と併せてできる依頼を引き受けることにした。

 少し遅い時間だからかギルドに入ると、そんなにヒトはいなかったが、ロマノさんが酒を飲んでいた。

「お久しぶりです。ロマノさん。」
「お!あんたか、まだ生きとったか。」
「はい。何とか生きてますよ。」
「そりゃよかった。棺桶はどこぞに置いてきたのか?」
「はい。宿屋に置いてあります。」
「そうか、まぁ無理せんようにな。」
「ありがとうございます。」

 そんな普通の会話をして受付に行く。
「ディートリヒ、すまないが13階層までに達成できそうな依頼を見繕ってくれないか。」
「はい。いくつでも良いですか?」
「さすがに10も20もはできないからね。その辺りは判断して。」
「分かりました。」

 俺とナズナは受付に行く。
運よくシーラさんが居たので、ナズナの冒険者登録についてお願いした。

「あのニノマエさん、こんな事をニノマエさんに言うのも何なのですが…」

シーラさんがおずおずと話し始める。
 内容は、先般のスタンピードでギルド長が職務を放棄しギルドが崩壊してしまった現状を、冒険者ギルド本部はシェルフールのギルド職員全員の責任とした事。
その責任を取るため向こう3か月、職員の給料を10%カットされた事、依頼のノルマを加算し、そのノルマを達成できなかった際には、さらに10%カットすることを告げられたといった泣き言だった。

「今も冒険者の中では、ギルドへの不満を持っていらっしゃるヒトも居て、なかなか依頼を受けてくれないという事実もあるんです。
 それに、クーパーさんがここのギルド長に就任してから厳しくなったというか…。」

 あ、クーパーさんギルド長になったんですね。おめでとうアンドご愁傷様!
ギルドは仕方がないから放置しようかと思ったが、シーラさんは優秀だから分かってくれるかと思い、少し苦言を呈してみることにした。

「シーラさん、まず依頼を受けてくれないというのは、前回までギルドが報酬をピンハネしていた事実が発覚したからですね。冒険者の皆さんは、そんな信用のできない所に買い取りを頼めば同じ事をされると用心しているからでしょうね。」
「はい。それは重々承知しておりますが…。」
「信用ってのは石積みみたいなもので一発で崩れてしまうくらい脆いものです。
でも、もう一度ひとつひとつ積み重ねていくことはできるんですよ。幸いこのギルドにはクーパーさんやシーラさんのような優秀なスタッフがそろっていますからね。」

 シーラさん、俺の話を聞いて明るくなったよ。

「ニノマエさん、ありがとうございます。私、頑張ります!」
「そうですよ。笑顔が一番。
 でも、これだけは忘れないでください。
 ギルド長とお局様が犯した今回の失態は、すべてギルド職員全員の責任です。
 何故と思われるかもしれませんが、あなたがたは彼らの行いを見て見ぬふりをした。
つまり、上に上げなかったことが同罪と見なされた訳です。
 そのことをクーパーさんは重々理解し、そして皆さんの襟を正しているのですからね。
 職員全員が同じ気持ちで進めないと、第二、第三の失態を犯す事になりかねません。」

 シーラさんはじっと俺の言葉に聞き入っている。

「…。そうですね。私たちも同罪なんですよね。怖かったから何も言えなかったなんて理由になりませんよね。」
「そうですね。でも、シーラさんが居れば変わりますよ。それと『頑張る』のではなく、『踏ん張って』ください。」
「はい。ありがとうございます。『踏ん張り』ます! Late Bloomerさん!」

なんだ?その二つ名は?そう言えばメリアドール様もそんな事言ってたな…。

ディートリヒが戻って来た。
え、おい。どんだけ依頼書持って来たんだ?

「カズ様、聞き耳を立てていました。
 これだけ達成すれば、ギルドのノルマは達成できるのかと思いまして。」

 ディーさんや、あんたは鬼か悪魔かい?
シーラさんはその数を見て、目をキラキラさせている。
 
「これだけあれば、今月のノルマは達成できます。是非お願いします。
 何なら、依頼達成の報酬に私をお付けいたしますが。」
「結構です(要りません)(不要です)。」

 ここにも残念なヒトがいました…。

 依頼は全部で20と少し…、そんなにもできるのかと思うが、内容を見ると同じようなものがいくつもあり、数さえ討伐すれば何とかなりそうだ。
 特に多いのが肉系の調達。という事は6階層で牛肉、11階層でオーク肉か、それか9階層か14階層のモンスターボックスでの一掃を目指すのも手だ。
 それに前回よりも魔物が増えている事を期待し、全部受けることにした。

 シーラさんに、数日間ダンジョンに籠るので、何かあったら冒険者ギルドに託をお願いする旨を琥珀亭に伝えておいて欲しいことをお願いしダンジョンに向かった。

 道中何も発生しない。魔獣くらいは出てもよさそうだと思ったが、索敵をかけても遠くに居るだけ。彼らものんびりとしているんだろう。
3時間半歩きダンジョンに到着する。
そう言えば、他の冒険者たちはマイ馬車なるものを持っているようだ。
今のところ歩くのが億劫にはなっていないので良いが、そのうち考えることにしよう。

ダンジョン前にの守衛さんにダンジョンに数日間籠ることを伝えるとともに、一つ疑問になっていたことを尋ねる。
それは、ダンジョンから帰還できる部屋がボス部屋の次の部屋となっているが、例えば5階層のボスを倒し6階層に言った場合、5階層まで戻って帰還すれば良いか、という内容だ。
俺たちは13階層に籠る予定だから、10階層まで戻って帰還できるのかを聞きたかった。
結論から言えばそうだとの事。
親切設定ならその踏破した階層ごとに帰還できるものがあると嬉しいんだけど…。わざわざ戻らなきゃいけないのは面倒くさい…。
しかし、戻ることを踏まえて階層にチャレンジするのが冒険者だ!と胸を張って言われたので了解する。
後、踏破した階層はスキップできるのか、と聞けば、それはできるとの事。
第1階層の手前にある石にギルド証をかざすと踏破した階層まで行ける。
じゃぁ、各階層にその石を置けば自由に行けるじゃん!と思うも仕様なので我慢することにした。
まぁ、行きは親切設定、帰りは自力で、というコンセプトだろう。

 今回は、ナズナのデビュー戦ということもあり、第1階層からリスタートする。

「さぁ、行こうか!」

 俺たちは淡い黄色の光に包まれた。
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