地方公務員のおっさん、異世界へ出張する?

白眉

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第五章

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 ギルドでの急展開とディートリヒから馬車を確保した報告を受け、俺たちはマルゴーさんの店に行く。

「マルゴーさん居ますか?」
「その前に、ダーリンお帰りなさい。」

 アイナさんもブレないくらい残念なヒト建材だ。

「で、マルゴーさんは?」
「私の話は無視ですか~?もう…。おとぉーちゃーん! ダーリンだよー。」

誰がダーリンだ…。

「お、あんたか。」
「ええ、明日から7日間街から離れますので、その報告とこれを加工してもらおうと思って。」

 俺は、少しずつ錬成していたステンレスをマルゴーさんに渡す。

「ほう、これは、鋼とも違う合金だな。」
「はい。腐食に強い金属です。これを使って、水回りの管と浴槽をお願いしたいのです。あとは、お風呂にお湯が出るように魔石をいれる装置も作っていただけると嬉しいです。」
「腐食に強いか…。なぁニノマエさん、この合金だがホントに腐食に強いと分かった時、俺たちに扱わせてもらえないか?
勿論、それなりの金で取引させてもらうが…。」
「問題ないと思いますが、それは商業ギルドを通して行った方が良いと思います。
 なので、一度伯爵夫人のユーリ様にご相談した方が簡単だと思いますよ。」
「そうだな。ギルドがかんでくれれば問題ないな。」
「はい。それに腐食に強いかどうかは期間がかかりますからね。」
「で、風呂桶の話だが、どんな形にするんだ。」
「それは、棟梁のジョスさんと相談してもらい、良いモノにしていただければ問題はありません。」
「そうか…、ジョスの野郎と話すか…、仕方がねぇな。この間あんたからもらった酒でも持って行ってくるか。」
「あ、そうであればこれ持って行ってください。」

 俺はもう一本ウ〇ッカを出してマルゴーさんに渡す。

「お、分かってるね~。風呂桶と配管については任せとけ!」
「お願いします。あ、それと家が出来てからでよいのですが、そろそろ彼女たちの防具を買い替えようと思っているんですか。何が良いでしょうかね?」
「そうだな…。そこの背の高い別嬪さんは革のアーマードレス、背の低い方の可愛い子は冒険者の服だよな…。両方の職業は何だ?」
「こちらが剣士、こちらが斥候です。」
「おいおい、剣士が剣撃なんて飛ばせねぇぞ。って事は魔剣士か。それと斥候か。
ベースは革で重要部分は鋼、ミスリルで覆うってのが上のランクだが、それ以上のものならオリハルコンなども有りだ。後はベースとなる魔物の素材によりけりだな。
 どんな魔物の皮が良いんでしょうかね。」
「そりゃ一番はドラゴンだろうよ。」
「え、ドラゴンっているんですか?」
「居るもなにも…、ここから北東に行くと火山帯があるんだが、そこに棲んでるって言われてるぞ。」

 お!ドラゴンだ。一度は見てみたい。

「まぁ、他にもワイバーンやサーペント、バジリスクってのも有りだな。」
「え、バジリスク?」
「あぁ、柔らかいが防御があってなかなか良い皮だぞ。」

俺、バジリスク・ジャイアントの皮、全部トーレスさんに売ってしまったし、スタンピードの時も要らないからって全部売っちゃったよ…。
後悔先に立たずだ…。

「んじゃ、マルゴーさん、何か良い皮が手に入ったら持ってくるので防具の製作をお願いしますね。」
「おう!任せとけ!格安で作ってやるよ。」

これで、遠征までのおおまかな決め事は終了したな…。
後は“ヤハネの光”との付き合いだが、これまで通りで良いだろう。
ダンジョンでとった食材は少しだから、ここで7日分たっぷりと買っておく必要があるな…。
総勢9名の大遠征だ。ゆっくりこの時間を満喫しよう。

 宿屋に戻る前に、大きな鍋と食器類を購入する。
あと、テントももう一個買っておくか…。
なんだかんだ言って、俺もウキウキしている。
ダンジョンの往復以外の遠出だ。魔物も居るだろうが襲って来なければ問題ない。

 俺たちは宿屋に戻って食事を摂る。忘れずにラウロさんにも7日間部屋を空けることを伝えた。

 ベッドに入り、少しディートリヒとナズナに話をする。

「こんなに大勢な旅になってしまってすまないな。」
「いえ、カズ様、もとはと言えば、私から言い出した話なので、その…、少し責任を感じています。」
「ん?そんな事はないぞ。
レルヌさんはどう思っているか分からんが、そもそもレルヌさんの故郷に行くって言いだしたのは俺だからな。あ、大勢で行くと迷惑になるか?ナズナ、レルヌさん何か言ってたか?」
「はい。お館様、レルヌ様はエルフ族なので、あまり外の世界と付き合うような種族ではないが、今回は大丈夫だろうという事です。」

 エルフ族ってのはそんなに閉鎖的なんだ…。
まぁ、ルカさんよりも齢をとっているって事だから長老の部類に入るんだろうか?
でも、見た目すごく若いんだよな。
それに比べ俺はじじいだし…。

あ、今回の遠征で一番最初にバテるの俺じゃないのか?
ヤバいなぁ…。

(ディートリヒさん、お館様が違うところに行かれているようですが…)
(ああなると、もう私どもでも止められませんので、放っておきましょう…。そのうち戻って来られますよ。)

「あ、そうだ。レルヌさんの郷ってどこにあるんだ?」
「はい。ここから馬車で南に1日半行くと湖があり、その東に1日半の所にある森だそうです。」

「ん?南に行ってから東に行くのか?」
「はい。」

そう言えば、この世界の地図ってどうなっているんだろう。
誰か持っているのかな。

「なぁ、この世界の地図というものは無いのか?」
「はい。ありますよ。」
「え?どこに?」
「どのギルドでも売っています。」

先に教えて欲しかったよ…。
俺、街とダンジョンしか知らないよ…。

「ナズナ、すまないが明日の朝イチでギルドで買って来てくれないか。」
「はい。分かりました。」
「あとは何か必要なものはないか?」
「カズ様、ひとつお願いがあるのですが。」
「ん?なんだ?」
「明日から7日間借りる馬車ですが、その…、乗り心地が悪く、すぐにお尻が痛くなると思うので、よろしければ下に敷くものをお持ちになられると良いと思います。」
「下に敷くモノ?座布団のようなものか?」
「座布団というものは存じ上げませんが、厚手のものがあると良いと思います。」

 確かに馬車とかにはクッションというモノは無いのだろう。
では何かあるか?と言われてもこの部屋にもそんなものは無い…。
何かないか、と思案していると、これまでの世界から布団セットを持ってきたことを思い出した。

「そう言えば、こんなモノを持ってきてたんだっと。」

 俺は布団セットを取り出した。
布団はこちらでもあるのであまり意識はしていなかったが、寒くなった時に使おうかと思い入れておいた。一応敷布団は綿で掛布団は羽毛だ。

「カズ様、これは一体。」
「布団だよ。」
「布団というのが分かりませんが、二枚あるのは何故ですか?」
「これが敷布団と言って下に敷くものね。んで、こちらが掛布団。上にかける方ね。
 こうやって、二枚の間に入って寝るんだ。」
「上は分かりますが、下にも布団があるのですか?」
「え?現にこのベッドだって下にあるじゃん。」
「いえ、これはベッドです。下というものではなくベッドです。」

 あ、この世界、マットレスと言う概念は無いんだ。
だから、がわとマットレスが一体化したものをベッドって言うんだ。

「これがベッドだって事は分かったよ。
 で、この敷布団だけど、これを馬車の敷物に使えないか?」
「ダメです(いけません)。」

 ん?何かハモッたぞ。

「なんで?」
「こんな良いモノを馬車の敷物などに使ってはいけません。
 これはカズ様と一緒に寝るものです。」
「そうです。こんなあたたかいものを敷物に使うなどもってのほかです。
 そうだ。敷物は明日朝一番に店を駆け回って敷物を探してきます。
今晩はこの布団で一緒に寝ましょう。それと野営の際にも持っていきましょう!」

 あくまでも布団は布団の役目をすることとなりホッとしているのだろうか…。
しかし、布団でイチャイチャウフフすると翌朝干さなければいけないんですが…と思うが、まぁやめておこう。彼女たちの楽しみを取っちゃいけないよな。

 俺はそう思いながら、キングサイズのベッドの上に申し訳なく鎮座しているシングルサイズの布団セットを見ながら、3人では寝れないぞと密かに思った。
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