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出会い③

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「自己紹介も終わった所で
「終わってないわよ!」


シロイの言葉にフレイは割り込んだ。
勿論理由は自分だけ紹介を飛ばされたのが不満の為だ。


「フレイさんですよね!宜しくお願いします」


慌ててリオラはしっかりフォローに入り、先程と同じ様に手を差し出す。


シロイが「フレイ」と呼んでいたので、もう知っていたのだろう。

フレイは不満顔であったものの、リオラの手を握り返した。

リリーも兄に続いたが、先程とは違い直ぐに手を離してくれた様だ。



「ところで、お二人はメルディーナの方にお戻りですか?」


リオラがシロイに尋ねてきたのだが、僕はどういう意味なのか分からなかった。
その為、答えられずにいる。

(メルディーナの方とはどういう意味なのだろう...)

考えていると、隣のフレイから助け舟が出される。


「ええ、今年入学したの。貴方達と同じ様に夏期休暇は家に帰ってた、って感じよ」

どうやらこの二人も夏季休暇で家に帰省していた様だった。


確かフレイは「夏休みの課題が終わらない」と三日前からぼやいていた。
その度、何故か翡翠さんから拳骨を喰らっていたが。



「やはりメルディーナの方でしたか」


リオラは何か納得した様な表情をしている。


「やはりって?どういう意味?」

フレイが疑問に思い問う。

シロイも思考を巡らせる。
「メルディーナの方」と言い方をするのは「メルディーナ」ではない方も有るという事だろう。

しかし、リオラは僕達がメルディーナに行く生徒だと分かっていた様な口振りをしたのだ。

「ああ、それは、、、」

突然リオラが言いかけた口を閉じる。
指を顎に乗せ少し何かを考えている様だ。
表情は余り良くない。

「それは?」

やはり空気の読めないフレイは話の続きを促す。
最近分かった事なのだが、フレイは待たされるのが嫌いな性格だ。

リオラが重たい口を開く。

「少し家が特殊で、学園の皆様に余り好かれていないのです」


この時、リオラの顔は笑っていたが、声に少し憎悪が感じられた。
流石にこれ以上踏み込んではいけない雰囲気だ。

「...そう、大変なのね」

フレイも同じように感じとった為か、それ以上追求する事はなかった。
そして、暫く4人の間では沈黙が続く。


「ですから、僕等を知らない生徒はアゼリア学園にはいないんですよ」


どうやらこの2人は「アゼリア」という学園へ通っているらしい。


「そういう事ね。だから相席を断られた、ってとこかしら」

「正解です。」


そういえば、最初にそのような事を言っていた。思い返すと、比較的2、3人のグループが多かった気がする。
席さえ空いていれば、普通は断らわる事はないだろう。


「丁度15回目でした。シロイ達に断られたら、僕が妹の椅子になる所でした」
 

なんて妹想いの兄なんだろうか。
だが、申し訳ないが四つん這いになったリオラを想像して少し笑ってしまった。



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