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メルディーナへようこそ④
しおりを挟む気付くと真っ暗な世界にいた。
この光景は前にも見た事がある。
以前は、光を目指しひたすらに走った。
しかし、今回は気持ちは落ち着いているし、冷たさも感じない。
「..こ..て...やる」
どうしようかと考えていると、突然この闇の世界で人の声がはっきり聞こえたのだ。
その声はなんとなく聞き覚えがあるよう感じがする。シロイは音を頼りに声がする方へとゆっくりと足を進めた。
近づくにつれてその言葉が鮮明に聞こえてくる。
「...こ...し...やる」
声の主はもう近い。
そして辿り着いた先、そこにいたのは小さな女の子だった。
その女の子は先程から、はっきりと聞き取れないが、ぶつぶつ同じ事を呟いている様で膝を抱えて座り込んでいる。体はガタガタと震えて、自身の親指の爪を齧っている姿はかなり不気味だ。
「...大丈夫?」
取り敢えず放って置くわけにもいかず、シロイはなるべく優しい声を意識し、少女に話し掛ける。
その声に反応する様にピタッと女の子の震えが止まった。
そして、その子は勢いよく僕に顔を向けて、はっきりとこう言った。
「...お前を殺してやる」
この言葉を最後に「夢」は終わりを迎える。目が覚めると僕はベットに寝かせられていた。
最後に見た少女の顔は、余りにも酷い有様だった。顔の皮膚は削げ落ち、眼球が浮き、辛うじて残っている歯。
思い出すだけで、吐気が込み上げて来る。
「随分うなされてたけど大丈夫?」
存在に気付かなかったが、ベットの横で椅子に座ってフレイが本を読んでいた。
「うん。というか此処何処?」
「保健室、あんた上から落ちてきた鉢にぶち当たって倒れたのよ。」
あ、そういえば意識が無くなる前に何か割れるような音を聞いたような気がする。
通りで頭が痛い訳だ。抑えてみるとたんこぶになっている。
しかし、その痛みを忘れるくらいに衝撃が走った。フレイの背後には、窓があるのだが、空が赤く染まっているのだ。
「え、まって、始業式は!?」
「とっくに終わったわよ」
「...こ、これ、サボりとかにならないよね」
「事情が事情だし大丈夫よ。それと、そこまで母さんは鬼じゃないから。」
よかった、一先ず安心だ。
初日からサボった、なんて事が知れたら不良だと思われるし、何より翡翠さんに怒られる。
「取り敢えずあんたを寮まで連れて行かないといけないんだからさっさと起きてくれる?」
そして、シロイを包み込んでいた布団を思いっきりひっぺがした。
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