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第10章
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高柳君は言葉を失っている。
「えっ、あっ、そうかぁ~
それは…気の毒だったな」
こういう時、何と声をかけたらいいんだ?
宗太郎が迷っていると、
「そうなの…
それが、何も知らなくて…
本当に、ご愁傷様でした」
清子は冷静に、彼に向かって頭を下げる。
宗太郎も、言葉もなくうなづく。
「いや、だいぶ前から悪かったし…
遅かれ早かれ、こうなることはわかっていたんだ」
高校生とは思えないくらい、とても落ち着き払った様子で、
神林君がそう言う。
宗太郎には、想像も出来ないけれど…
神林くんは、本当に大丈夫なのだろうか?
「お父さん、お母さんは?」
まさか、一人というわけではあるまい…と思うけれども。
「オヤジも、オフクロも、連絡が取れなかった」
何だかずいぶん慣れた口調で、宗太郎の方を向く。
「今回の転校は、じいちゃんの世話を見るためだったからなぁ。
ボク一人でも、どうにかなったよ」
あっさりとそう言う。
「え~っ、でも!
死亡診断書とか、お葬式の手配とか…」
本人よりも、清子の方が動揺している。
神林君は、フッと頬をゆるめると、
「そういう段取りは、前から…オヤジの知り合いの弁護士さんが
手続きとかしてくれていたから、ボクはただ、言われた通りに
動いて、立ち合っただけだよ」
よく見ると、彼の学生服のポケットから、チラリと数珠がのぞいている。
「でも…親戚の人は?」
心配そうにする清子の顔を見ると、ふっと微笑む。
「じいちゃんはね、親戚中から、鼻つまみ者扱いだったしなぁ」
大丈夫だよ、と清子にささやいた。
「えっ、あっ、そうかぁ~
それは…気の毒だったな」
こういう時、何と声をかけたらいいんだ?
宗太郎が迷っていると、
「そうなの…
それが、何も知らなくて…
本当に、ご愁傷様でした」
清子は冷静に、彼に向かって頭を下げる。
宗太郎も、言葉もなくうなづく。
「いや、だいぶ前から悪かったし…
遅かれ早かれ、こうなることはわかっていたんだ」
高校生とは思えないくらい、とても落ち着き払った様子で、
神林君がそう言う。
宗太郎には、想像も出来ないけれど…
神林くんは、本当に大丈夫なのだろうか?
「お父さん、お母さんは?」
まさか、一人というわけではあるまい…と思うけれども。
「オヤジも、オフクロも、連絡が取れなかった」
何だかずいぶん慣れた口調で、宗太郎の方を向く。
「今回の転校は、じいちゃんの世話を見るためだったからなぁ。
ボク一人でも、どうにかなったよ」
あっさりとそう言う。
「え~っ、でも!
死亡診断書とか、お葬式の手配とか…」
本人よりも、清子の方が動揺している。
神林君は、フッと頬をゆるめると、
「そういう段取りは、前から…オヤジの知り合いの弁護士さんが
手続きとかしてくれていたから、ボクはただ、言われた通りに
動いて、立ち合っただけだよ」
よく見ると、彼の学生服のポケットから、チラリと数珠がのぞいている。
「でも…親戚の人は?」
心配そうにする清子の顔を見ると、ふっと微笑む。
「じいちゃんはね、親戚中から、鼻つまみ者扱いだったしなぁ」
大丈夫だよ、と清子にささやいた。
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