おかえりなさい、シンデレラ(改訂版)

daisysacky

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第1章 トンネルの向こうには…

   8

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(一体、何なんだ?)
 彼女の反応に、タクトはイライラする。
一番に、シャワーを浴びさせてあげた。
家にももちろん、泊めるつもりだ。
見返りなど…下心だって(ちょっと残念ではあるが)
今のところは、何も求めてはいない。
(かえって、厄介ごとに、巻き込まれたくないしな!)
それなのに、他に何が必要なんだ?
思わず文句が爆発しそうになるけれど、それでもすぐに、
相手は、自分よりも年下で、年頃の女の子である、と思い至り
どうにか押さえる。
(あっ、そうか。さすがに一緒は、まずい…か)
ようやく気が付くと、ガバッとどうにか体を起こす。
疲れていて、本当はもう、限界なのだ…
だが、それでも何とかムリヤリ勢いよく立ち上がると、
エラの肩を何気なくポン、と触れる。

「じゃ、こうしよう!」
 あくまでも年長者の余裕を見せつけようと、がんばってみせる。
「キミはベッド、ボクはあっちの部屋で寝る。
 これでいいか?」
そう言うと
「何かあったら、言ってくれ」
枕を1つ手に取ると、ソファーの方へ移動する。
クッションをポンと放ると
「とにかく明日は、仕事なんだ。
 もう、寝かせてくれ」
そう言うと、エラの反応を待たずに、スタスタと部屋を横切る。
背後では、まだ女の子がじぃっとこちらを向いているのを、
感じていた。

 カンベンしてくれ
 もう限界だ…
 今日も仕事で終電まで働いて、休む間もなく、彼女を見付けて、
連れて帰ってきたのだ。
どこの誰だか、ナニモノだか、わからない相手だ。
だけどもう…詮索する余裕もなく、さすがに体力の限界を感じる…
 振り返る間もなく、タクトはソファーにクッションを放り投げると、
身体を投げ出すようにして、身を横たえる。
とにかくひどく疲れていて、ひどく気が立っていた。
 どこの誰だかわからない、赤の他人がいるから、眠れるのか…
ひそかに、そう思っていた。
だが、あにはからんや、目をつむったとたん、
あらがう余裕もなく、すぐに眠りに落ちていた。
さすがにもう…この奇妙な女の子のことを、考える余裕も
この時のタクトには、すでに残されてはいなかった…
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