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第15章 ラストチャンスは突然に?
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バッグを手に、すぐに取って返すと、カスミさんは信子の方を向くと、
「とりあえず、これ!持っておいてね」
「はいっ」と手を突き出す。
「外出する時は必ず、このカギを使ってね!
もしも行き先が決まったら…私に遠慮はしないでね!
鍵をポストに入れて、返してくれればいいから」
カスミさんはニッコリと微笑んだ。
「それじゃあ、おやすみ」
カスミさんがそう言うと、敷居になっている、アコーディオンカーテンを
閉める。
「あっ、部屋の電気…少し暗くするけど、気にしないでね」
少しこもった声が、隣のスペースから聞こえる。
「あっ、はい」
パッと灯りが消えると、オレンジ色の豆電球が、部屋をほのかに照らし出した。
「おやすみ」
もう1度、カスミさんの声が、ささやくように聞こえる。
「おやすみなさい」
信子は壁の向こうに声をかけると、ボンヤリと部屋の中を見つめた。
窓には、ポッカリと青白い月が浮かんでいる。
長い1日だったなぁ~と、信子はボンヤリとした。
トンネルからここへ来るまでの間…
これから自分は、どうしたらいいのだろう…と、ずぅっと考えていた。
だけども全く、何も思いつかないのだ。
(せめて、自分の家さえ、見付けられたら…)
そう思うのに、どうしたことか、まったくその辺りのことが、思い出せないのだ。
(どうしてなんだろう?
まさか…記憶喪失?)
不思議に思うけれども。
だがきっと、そのうち…何かヒントになるようなことを、思い出すことだろう…
と、信子は自分に言い聞かせていた。
「せめてねぇ、捜索願とかが出ていれば…
簡単に見つけられるんだけどねぇ」
今日車の中で、シューヘイとカスミさんが、話をしているのを、チラリと耳にした。
まさか自分は、誰にも探されてはいないのだろうか?
そう思ったとたん、信子の胸の奥が、チクリと傷んだ。
「病院へ一度、連れて行った方が、いいのかなぁ」
カスミさんの声が聞こえた。
だが、自分のことを話題になっていた、というのに…
なぜか信子は、まだピンとこなくて、悲しいと感じなかったのだ。
「とりあえず、これ!持っておいてね」
「はいっ」と手を突き出す。
「外出する時は必ず、このカギを使ってね!
もしも行き先が決まったら…私に遠慮はしないでね!
鍵をポストに入れて、返してくれればいいから」
カスミさんはニッコリと微笑んだ。
「それじゃあ、おやすみ」
カスミさんがそう言うと、敷居になっている、アコーディオンカーテンを
閉める。
「あっ、部屋の電気…少し暗くするけど、気にしないでね」
少しこもった声が、隣のスペースから聞こえる。
「あっ、はい」
パッと灯りが消えると、オレンジ色の豆電球が、部屋をほのかに照らし出した。
「おやすみ」
もう1度、カスミさんの声が、ささやくように聞こえる。
「おやすみなさい」
信子は壁の向こうに声をかけると、ボンヤリと部屋の中を見つめた。
窓には、ポッカリと青白い月が浮かんでいる。
長い1日だったなぁ~と、信子はボンヤリとした。
トンネルからここへ来るまでの間…
これから自分は、どうしたらいいのだろう…と、ずぅっと考えていた。
だけども全く、何も思いつかないのだ。
(せめて、自分の家さえ、見付けられたら…)
そう思うのに、どうしたことか、まったくその辺りのことが、思い出せないのだ。
(どうしてなんだろう?
まさか…記憶喪失?)
不思議に思うけれども。
だがきっと、そのうち…何かヒントになるようなことを、思い出すことだろう…
と、信子は自分に言い聞かせていた。
「せめてねぇ、捜索願とかが出ていれば…
簡単に見つけられるんだけどねぇ」
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まさか自分は、誰にも探されてはいないのだろうか?
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「病院へ一度、連れて行った方が、いいのかなぁ」
カスミさんの声が聞こえた。
だが、自分のことを話題になっていた、というのに…
なぜか信子は、まだピンとこなくて、悲しいと感じなかったのだ。
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