御手洗さんの言うことには…

daisysacky

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ソータローのこと…69

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 老人は、静かにそこに横たわっている。
まるで、意思のない人形のようだ。
(本当にこの人…生きているのか?)
宗太郎は、ふと思う。
もしかしたらすでに、死んでいるのではないか?
そう思った途端、ザワッと鳥肌が立つのを感じた。

「大丈夫、死んでいないよ」
 宗太郎の思いを読み取ったかのように、神林君が彼にそう言う。
「ほら、見てごらん。
 指が、かすかに動いている」
そう言うと、老人の方を指し示す。
(それにしても…何でそんなに、落ち着いていられるんだ?)
宗太郎は、神林君のことを不気味に感じる。
「ねぇ~まさか、このおじいさんに、うらみとかあるんじゃあないだろうね?」
思いつくままに、そう尋ねる。
「へっ?」
 何を言っているんだ?
意外なことを聞いた、というような顔をすると、
ははははは…
こちらが引くくらい、大きな声で笑う。
「あのねぇ~本当にうらんでいたら、わざわざこんな所まで来て、
 世話なんか、したりしないよ」
楽しそうに宗太郎を見る。
「それはそうだけど…
 でも、ちゃんとした病院に預けるもんでしょ?」

 普通ならば、そうだ。
だが神林君には、それが通用しない。
案の定、それがどうした、という顔をしている。
「あのねぇ~これは、本人が望んだことなんだ。
 この人はねぇ、自分の命よりも、ここが大切なんだよ」
 自分の家族よりもね!
神林君は、とても冷静な顔をしてそう言う。
「そうなの?」
それは、違うと思うけどなぁ~
宗太郎には、神林君のことが理解出来ない。
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