御手洗さんの言うことには…

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ソータローのこと…２０２

「ボクは大丈夫！
　それよりも、宗太郎が…」
　いつになく強い口調で、神林君が言う。
「きっと…暗示がとけてきているんだろうなぁ」
ボソリと、先生がつぶやく。
「暗示？」
先生はさっきから、何を言っているのだろう？
何だかまるで、別人のようだ…と、清子はそう感じる。
そういえば、宗太郎の様子がおかしくなったのも、先生と話を
していた時だ。
（先生って、何者？）
何か見えてくるような、気がする。

「ねぇ、先生は…どうしておじいさんが、この家にこだわっていたと
　思う？」
　ふと思いついて、清子が先生に尋ねる。
「なんで、私に？」
明らかに、先生は戸惑った様子だけれど…
きっと先生は、ここ以前から来ていたのだろう…と、清子は感じる。
　宗太郎はまだ、この家の毒気に当てられたようで、ボーッとしている。
「えっ？」
先生は先生で、こんなことを聞かれるとは、想像もしていなかった…
と思われる。
しばらく無言で、清子のことを、じぃっと見つめている。
まるで清子の心の奥底まで、見透かそうと思っているみたいだ。
その目を、清子も辛抱強く見返す。
「別に、やましいことは、ないんですよね？」
念を押すようにして、先生に向かって、清子が畳みかけた。