御手洗さんの言うことには…

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ソータローのこと…３１７

「先生！さっき誰かとすれ違わなかった？」
　ふいに思い出して、宗太郎が先生に問いかける。
「誰かって？」
宗太郎の言っている意味がわからないのか、先生はキョトンとする。
これがもし、演技だとするならば、相当のタヌキだ。
「たぶん…女の子」
それでも清子が重ねて言うと、
「へぇ～そうなの？」
先生は興味津々の顔を、清子に向ける。
「もしかして…実験は成功したのかなぁ」
　先生がボソッとそう言うと、さっき清子たちが見つけた、ベッドに
手を触れる。

「実験？」
「誰が？」
「何の実験？」
　思わず三人が、先生に向かって迫る。
「おぉっとぉ～」
思わず先生が、大げさによろめいてみせる。
「ボクも…よくは、知らないんだ」
初めは先生が、あいまいに言うけれど…清子の目を見て、考えを
変えたのか、あらたまった様子で口を開く。
「ボクが若い頃、ここに初めて来たんだ。
　たまたまここを見つけて、驚いたよ。
　君たちも見ただろ？
　こんな古い家には似つかわしくない、実験の道具と、あの女の子だ。
　ここにいたおじいさんが…相当の変わり者だ、という噂を聞いては
　いたが、まさか、とんでもないことをしているのか…と、
　心配になったよ」
その割りには、にこやかに清子に話しかけている。