ラストダンスはあなたと…

daisysacky

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幕間…ある男のつぶやき

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「いよいよ来たぞ」
 厚手の遮光カーテンをさっと開くと、男は下界を見下ろす。
先ほど来たという、若い団体客なのか、何やら騒ぎ立てながら
我が物顔で、こちらの方に向かって歩いて来るのが見えた。
 この自分の静かな世界を乱す輩が、時折こうしてやって来る…
ヤツらは大義名分を振りかざして、堂々と乗り込んで来るのだが…
どいつもこいつも、礼儀知らずで、城の中を探索し、あばきたて、
さらには私のことも、白日の下に、引きずり出そうと画策する。

「その手には、乗ってはたまるものか!」
男は若者たちをせせら笑う。
この城は私のものだ。
誰よりも熟知している。
このホテルは、圏外で、外部との連絡が取れないということになっているのだが、
この秘密の部屋は、別なのだ。
あるルートで、電波が傍受できるようにと、工夫されているのだ。
 ネットだの、SNSだの、さも自分の手柄のように、得意気に
垂れ流される情報には、いささかうんざりだ、と男は思っていた。
だがこの城は違う。
あんな、垢にまみれたような世界とは、一緒にしないでくれ…
彼は怒りを覚えているのだ。

「オーナー、どうされますか?」
 控えめに、この部屋のドアをノックする音がする。
この音は、例のベテランの従業員の女だ。
静かに顔をのぞかせる。
男は彼女に背を向けたまま、窓の外を見下ろし、
「まだいい…その時が来たら指示するから…
 そのまま様子を見ていてくれ」
低く深みのある声で、男は静かにそう言った。
「でも」
まだ言い足りなさそうに、その女は珍しくその場に立ちつくす。
「オーナー、彼らは危険です。
 このままおいてたら、何をしでかすか、わかりません」
じぃっと彼の背中に、訴えている。
「このままでは、すまないような気がします」
彼女はやけに強い調子で、そう言う。
その口調の強さに気付き、彼は思わず彼女を振り返った。
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