ラストダンスはあなたと…

daisysacky

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第13章  今宵一夜だけは…

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「えっ?」
 冗談のつもりで言ったのに、いともあっさりと彼が答えるので、
珠紀はひそかにあわてて、彼の方を見る。
「その時分になると、毎年白鳥やツバメなんかも、よく来るよ」
さして驚くことでもない、といとも平静な顔をして、彼は言う。
「え~っ、すごい!」
思わず興奮して、珠紀は声を上げた。

 それは、個人の庭レベルではなかった。
まるで公園といっても、何ら問題がなさそうに見える。
裏返して言えば…これだけの庭を維持するには、とうてい1人では
ムリだろう。
(お金だって、かなりかかっているのではないの?)
そこが気になるところだ…
(やっぱり、お金持ちの道楽かぁ~)
そうは思うものの、思わず目が吸い寄せられてしまう…

 大きな庭には、ボートが1艘止められており、木の桟橋のような所が
設けられている。
「冬場では、ここでエサをやったり、釣りをしたりしているんだ」
彼はとても楽しそうなかおをする。
きっと楽しいだろうなぁ~と、その場面が、目に浮かぶようだった。
「ここが、山内さんの言ってた場所?」
思わず珠紀が聞くけれど…
「いいや、違うよ」
あっさりと否定された。
 これだけでも…十分キレイなのになぁ~
珠紀は驚く。
それにしても…そこは一体、どんなところだろう?
彼女には、全く想像もつかないのだった。

「せっかくだから、乗る?」
ボートを指し示すと、珍しく彼が珠紀を誘う。
「えっ、いいんですか?」
(まさか、ボートをこげ、とは言わないよね?)
あまりにも、今までとは違うので、さすがの珠紀もピリピリとした
緊張感に包まれた。

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