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第13章 今宵一夜だけは…
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顔を固くこわばらせ、黙りこくっている珠紀に、心配そうに
山内さんが寄り添う。
「あの、ホント、大丈夫です」
ようやく声を絞り出すと
「そう?何かあったら…遠慮なんてせずに、言ってね」
まだ気遣うように珠紀のことを、じぃっと見つめた。
珠紀はそれに気が付くと、つとめて明るくみせよう…と、
口元を横に引いてみる。
「大丈夫です、大丈夫」
そう言いながらも、目を落ち着きなくキョロキョロとさせた。
その夜…新しくあてがわれた部屋で、ぼぅっとしていると…
遠慮がちにドアがノックされた。
「はい」
返事をするけれど、何だかここにいるのが現実じゃないようで、
まだ何となく腰が落ち着かない珠紀だ。
「どう?この部屋」
ノックの主は、やはり山内さんだった。
慣れない様子で、目をきょときょとさせるのを見て、
ニッコリと微笑む。
いつもは仕事着のエプロンを身に着けて、化粧っ気のない
顔をしているのだが、その時はうっすらと化粧をしているようだった。
あら、と思ったけれど、あえて珠紀はそれには触れない。
「あのぉ、この部屋、ホントに使ってもいいんですか?」
まさか間違った部屋にいるんじゃないのか…と、
落着きなくきょろきょろとする。
「いいのよ!あなたは…もう自由なんだから」
オドオドとしている珠紀に、山内さんは微笑みながら言う。
それから珠紀の全身をざっと見ると
「あら!確かドレスを用意したはずだけど?」
と、うかがうようにして、珠紀を見る。
「えっ」
確かにそれはあったのだけれど、もしかしたら
誰かの置き忘れかもしれない。
または、部屋を間違えたのか、
それとも自分が間違えたのか…と珠紀は思い、
袖を通してはいなかったのだ。
山内さんが寄り添う。
「あの、ホント、大丈夫です」
ようやく声を絞り出すと
「そう?何かあったら…遠慮なんてせずに、言ってね」
まだ気遣うように珠紀のことを、じぃっと見つめた。
珠紀はそれに気が付くと、つとめて明るくみせよう…と、
口元を横に引いてみる。
「大丈夫です、大丈夫」
そう言いながらも、目を落ち着きなくキョロキョロとさせた。
その夜…新しくあてがわれた部屋で、ぼぅっとしていると…
遠慮がちにドアがノックされた。
「はい」
返事をするけれど、何だかここにいるのが現実じゃないようで、
まだ何となく腰が落ち着かない珠紀だ。
「どう?この部屋」
ノックの主は、やはり山内さんだった。
慣れない様子で、目をきょときょとさせるのを見て、
ニッコリと微笑む。
いつもは仕事着のエプロンを身に着けて、化粧っ気のない
顔をしているのだが、その時はうっすらと化粧をしているようだった。
あら、と思ったけれど、あえて珠紀はそれには触れない。
「あのぉ、この部屋、ホントに使ってもいいんですか?」
まさか間違った部屋にいるんじゃないのか…と、
落着きなくきょろきょろとする。
「いいのよ!あなたは…もう自由なんだから」
オドオドとしている珠紀に、山内さんは微笑みながら言う。
それから珠紀の全身をざっと見ると
「あら!確かドレスを用意したはずだけど?」
と、うかがうようにして、珠紀を見る。
「えっ」
確かにそれはあったのだけれど、もしかしたら
誰かの置き忘れかもしれない。
または、部屋を間違えたのか、
それとも自分が間違えたのか…と珠紀は思い、
袖を通してはいなかったのだ。
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