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第17章 すべてはまぼろしに…
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「彼は…武雄さんは、今どこにいるんですか?」
あきらめきれずに、珠紀は山内さんの顔をじぃっと見る。
何を言っているのだろう…と、そんな珠紀を、玲が黙って
見守っている。
もしかして珠紀は、その人のことが、好きなのだろうか…
そう思っていた。
彼女はやつれた顔をしていたけれど、目だけはギラギラと光を放っている。
こんな彼女を突き動かしているのは、一体何なのだろう?
その人を会いたいという思いなのかもしれない…
そんな風に、玲は思っていた。
「坊ちゃんは、どこにもいません。
きっともう…誰にも会いたくないのだと思います」
山内さんは、静かな声で、淡々と言う。
「もう、そぅっとしてあげてください」
その言葉を聞くと…
もしかしたら、何かしっているのでは、と珠紀はそう思う。
だけどおそらく…知っていたとしても、もう誰にも教える
気もないのだろう…
そう寂しく感じていた。
まるで別人のようだ…
珠紀はそう思う。
あんなに元気で、ハツラツとしていた彼女が、こんなことに
なってしまうなんて…
ところがそんな微妙な空気には気付かずに、突然秀人がひと言、
爆弾を投げかける。
「あの…やっぱり放火なんですかぁ?」
全く気に掛ける様子もなく、ポンと言い放った。
「ちょっと!」
思わず珠紀はつぶやき、あわてて秀人の腕を引っ張る。
「死体が見つからないって、本当ですか?」
まったく気にする様子もなく言うので…
思わず珠紀は、彼の口をふさぎたい…と、かなり本気で
そう思った。
山内さんは一瞬「えっ」とつぶやいたけれど、すぐに能面のような
無表情で、たたずんでいた。
それから急に思い出したように
「そうそう、坊ちゃんのたった1つ、残していったものがあります」
ひと言そう言うと、そそくさと立ち上がり、奥の方へと
引っ込んだ。
あきらめきれずに、珠紀は山内さんの顔をじぃっと見る。
何を言っているのだろう…と、そんな珠紀を、玲が黙って
見守っている。
もしかして珠紀は、その人のことが、好きなのだろうか…
そう思っていた。
彼女はやつれた顔をしていたけれど、目だけはギラギラと光を放っている。
こんな彼女を突き動かしているのは、一体何なのだろう?
その人を会いたいという思いなのかもしれない…
そんな風に、玲は思っていた。
「坊ちゃんは、どこにもいません。
きっともう…誰にも会いたくないのだと思います」
山内さんは、静かな声で、淡々と言う。
「もう、そぅっとしてあげてください」
その言葉を聞くと…
もしかしたら、何かしっているのでは、と珠紀はそう思う。
だけどおそらく…知っていたとしても、もう誰にも教える
気もないのだろう…
そう寂しく感じていた。
まるで別人のようだ…
珠紀はそう思う。
あんなに元気で、ハツラツとしていた彼女が、こんなことに
なってしまうなんて…
ところがそんな微妙な空気には気付かずに、突然秀人がひと言、
爆弾を投げかける。
「あの…やっぱり放火なんですかぁ?」
全く気に掛ける様子もなく、ポンと言い放った。
「ちょっと!」
思わず珠紀はつぶやき、あわてて秀人の腕を引っ張る。
「死体が見つからないって、本当ですか?」
まったく気にする様子もなく言うので…
思わず珠紀は、彼の口をふさぎたい…と、かなり本気で
そう思った。
山内さんは一瞬「えっ」とつぶやいたけれど、すぐに能面のような
無表情で、たたずんでいた。
それから急に思い出したように
「そうそう、坊ちゃんのたった1つ、残していったものがあります」
ひと言そう言うと、そそくさと立ち上がり、奥の方へと
引っ込んだ。
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