桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

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第10章   思いがけない味方登場

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「ね、どうしてそんなことになっているの?」
 あまりにもしつこく粘るので、仕方がないので、話だけでも
聞くしかない…と待子は覚悟を決め、聞くことにした。
すると…
「ねぇ、聞いてくれてるの?」
急にぱぁ~っと顔を紅潮させて、マイコは顔を輝かせて嬉しそうにする。
「別にいいけど…こうして来られる以上、私にも理由を聞く
権利があると思うの」
淡々と待子が言うと、
「そう?そうよね?」
 それでもなんだか…嬉しそうだ。
(まずい!聞くべきじゃなかったのかなぁ)
そう思うけれど…もう口にしてしまったからには、仕方がない。
さらにまた、こうして押しかけて来られることは、目に見えているだけに、
事情だけは聴いておこうと思うのだ。

「ところで…マイコさんは、普段は何をしているの?」
話を振ると、待ってました、とばかりに、マイコは目をしばたたかせて、
「バンドの追っかけをしているの」
ニコニコしながら、そう言った。
「追っかけ?仕事は?」
思わず待子は、声を上ずらせる。
一体この人は、どうやって食べているのだろう…とひどく
気になったのだ。
するとそんな待子の表情を読み取って、
「あ、バンドの演奏がない時には、バイトをして軍資金を
 かせいでいるわ」
と言うから…少しだけホッとする。
「バイトって、どんな仕事を?」
「洋服屋さんに行ってるわ。
 そこの店長、結構ゆるくて、休みたいと言うと、
 結構休ませてくれるんだぁ」
悪びれもせず、自慢気にマイコはそう言う。
そんな都合のいいことも、あるんだなぁと、待子は羨ましく思う。
「そこでバイトして、お金をためてから、ライブに行ったり
 してるんだぁ。結構追っかけもお金がかかうからねぇ」
嬉しそうに言いながら、待子に向かって、ニッコリと笑う。

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