桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

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第10章   思いがけない味方登場

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「田舎にいてもね、仕事があまりないしね、ここなら都会ではないけれど、
 まぁそこそこ仕事があるかな?と思ってね」
 いたずらっぽい顔をすると、顏がクシャクシャになり、何だかマイコも愛嬌のある
人懐っこい顔になる。
「でもね、学歴もない、親のコネもない、お金もない、ただの田舎の若いだけが
 取り柄の女の子のつく仕事なんて…そうそうあるわけもないのよね。
 最初は…ファミレスのバイトがスタートだったわ」
 話しながらも、クルクルとした瞳を大きく見開いて、ニッと笑う。
「そこでね、一緒になった女の子に、彼女がひいきにしている、バンドのメンバーを
 紹介されて…それが彼との初めての出会いだったわ…」
 うっとりとした表情で、マイコがそう言うと、待子としては何と言っていいものやら
わからないので、ただ黙って、にこやかにうなづくしかない。
それが…マイコの窓からの侵入と、何の関係があるのだろう…と、
待子も答えに困る。
 それでも、この人とこんなに話をするのは、おそらく初めてなので…
やっぱり想像通りの人だったんだ…と、ひそかに納得していた。

「最初はね、彼ともうまくいってたの…
 私もまだまだ子供だったし、世間知らずな女の子だったから、
 彼がとても大人に見えて…カッコよく見えたの。
 そのうちに妊娠して…これで結婚できると喜んでいたら、
 それを聞いた彼が、急に姿をくらましたのよ」
何だか週刊誌にでも、載りそうな話で、マイコはそれなりに、
色んな苦労をしたのだ、と思っていた。
 もっとも今の姿からは、そんな風には見えないけれど…
「それで、子供は?」
 それでも思わず前のめりになって聞いていると、マイコは不意に
我に返ったようになり、ちょっと顔をしかめる。
「ダメだったわ…結局彼との結婚とは、縁がなかったのね」
と、寂しそうな顔になった。
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