桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

文字の大きさ
上 下
244 / 428
第11章  新しい仲間たち

   5

しおりを挟む
  そう言われれば…マイコの服装も髪形も、レイコさんのよく
やるスタイルだ。
メイクの仕方も、考えてみればソックリそのまま。
「大人をからかうのは、やめてよぉ」
 嫌がるでもなく、レイコさんは嬉しそうに声を上げる。
そんな姿を見ていると、何だかいいなぁ~
こんな大人も可愛いなぁ、なんて本人に言ったら、全力で
否定されるだろうと思うけれど、まぶしいものを見るような気持ちに
なるのだ。
今までは、あまりいい大人の女性というものに、出会ったことが
なかったのだけど…
(学校の先生は、やたらとうるさかった)
こういうお姉さんではなく、頼れる姉御的な人に憧れて
いたのかもしれない…

「どう?みんなお金がないから、もちまわりにして、安くあげる
 つもりでいるけど?」
マイコにガッチリ腕をつかまれながら、レイコさんが真面目な顏で
待子に話しかけると、
「あっ、いいですね、それ!」
 特に反対する理由もないので、即座にうなづいた。
もっとも…みんなのスケジュールを合わせるのが、大変なのだけれども。
「でも…大変でしょ?」と聞くと、
「そんなのは、これ!」
すぐ側の柱に取り付けてある伝言板に、トントントンと軽くタップする。
「ここに書いてあれば…簡単よ!」
 そう言われれば、そうだ…
 ここはお風呂にしろ、掃除当番にせよ、すべて
 この黒板の情報をもとに、決めているのだ。
「これに適当に…アンケート取ればいいし」
軽い調子で、レイコさんが言う。
「あ、いい!すごくいい!」
マイコはベタ褒めだ。
「やっぱりレイコさんって、賢いなぁ」
 この2人、出来ているのか、と疑うくらいに仲が良いので、
待子は軽く嫉妬する。
「じゃ、そういうことで」
レイコさんが先に、部屋に戻って行く。
「あなたも 急ぐんでしょ?」
マイコが待子に声をかけるので、ふと我に返ると、
「しまった、そうだ!
 今日は1時限目からあったんだった!」
あわてて待子は、走って部屋に、戻って行くのだった。



しおりを挟む

処理中です...