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第15章 いのち短し 恋せよ乙女?
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「バイト先のオバサンたちも、優しくてね、
みんなでお弁当食べたり、お茶したりしてね、
たまーに、レジのお手伝いなんかもしてね、
みんなに可愛がられて…私、ホントに、生きてるってすごく実感したの」
ポワッとほほを赤くして、佐伯さんは言う。
「そうなんだ~」
このところ、佐伯さんが、毎日忙しそうに働いているのを知っていたので…
待子にもそれがわかり、大きくうなづく。
ただのお隣さんかと思っていたのだけど
(同い年で、同じ大学という共通点もあるけれど)
案外がんばっているんだなぁ~と感心していたのだ。
それから少し顔を曇らせると
「ある日ね、品出ししてる時にね、お客さんから声をかけられたの」
一瞬 困ったように言う。
「それがね、あの男の人だったの…」
そこまで言うと、ここで初めて、佐伯さんは眉間にシワを寄せた。
初めて自分の軽率さを後悔しているような…
自分に腹を立てているような、そんな顔をしていた。
それでも…いれたてのコーヒーのおかげなのか、クマガイさんのおかげなのかは
わからないけれど…佐伯さんは少し、落ち着きを取り戻したようだった。
まだ状況ののみ込めないクマガイさんにもわかるようにと、
彼女は言葉を選んで、説明する。
「何がキッカケで、そうなったのか…忘れたんだけど、
確か家が近くだ、ということがわかってね、
なんとなく…帰りを送ってくれるようになったの。
もちろん、頼んだつもりもないし、
何かご飯とか、約束をしていたわけではないけれど…
半分、待ち伏せされるようになって…一緒になる、みたいな?
別にね、付き合ってるつもりはなかったし、
それを望んでいるわけでもなかった。
でも、その人にとっては、たぶん、違ったのね…」
佐伯さんは吐き出すように言うと、ふぅっとため息をついた。
みんなでお弁当食べたり、お茶したりしてね、
たまーに、レジのお手伝いなんかもしてね、
みんなに可愛がられて…私、ホントに、生きてるってすごく実感したの」
ポワッとほほを赤くして、佐伯さんは言う。
「そうなんだ~」
このところ、佐伯さんが、毎日忙しそうに働いているのを知っていたので…
待子にもそれがわかり、大きくうなづく。
ただのお隣さんかと思っていたのだけど
(同い年で、同じ大学という共通点もあるけれど)
案外がんばっているんだなぁ~と感心していたのだ。
それから少し顔を曇らせると
「ある日ね、品出ししてる時にね、お客さんから声をかけられたの」
一瞬 困ったように言う。
「それがね、あの男の人だったの…」
そこまで言うと、ここで初めて、佐伯さんは眉間にシワを寄せた。
初めて自分の軽率さを後悔しているような…
自分に腹を立てているような、そんな顔をしていた。
それでも…いれたてのコーヒーのおかげなのか、クマガイさんのおかげなのかは
わからないけれど…佐伯さんは少し、落ち着きを取り戻したようだった。
まだ状況ののみ込めないクマガイさんにもわかるようにと、
彼女は言葉を選んで、説明する。
「何がキッカケで、そうなったのか…忘れたんだけど、
確か家が近くだ、ということがわかってね、
なんとなく…帰りを送ってくれるようになったの。
もちろん、頼んだつもりもないし、
何かご飯とか、約束をしていたわけではないけれど…
半分、待ち伏せされるようになって…一緒になる、みたいな?
別にね、付き合ってるつもりはなかったし、
それを望んでいるわけでもなかった。
でも、その人にとっては、たぶん、違ったのね…」
佐伯さんは吐き出すように言うと、ふぅっとため息をついた。
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