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第15章 いのち短し 恋せよ乙女?
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しみじみと思い出すように、佐伯さんは言う。
「あの時は、親切な人だなぁ~くらいの想いしかなかったんだけどね」
どこであんな風になったのか、わからない…と佐伯さんはつぶやく。
「キッカケはなに?」
待子が横顔に向かって聞いても、
「なんだろう?特にないと思うけど…」
浮かない顔をする。
「キッカケは覚えていないんだけどね、仕事が終るタイミングを見計らって…
よくお店の裏口で、待ち伏せするようになったのよ」
考えこむように、虚空を見上げる。
「初めはね、たまたま一緒になったのかなぁと思っていたの。
わりと近所に住んでいるらしい…というので、近くまで一緒に
帰ったこともあるの。
そのうちにね、あんまりにも毎日来るようになったから、
パートのおばさんたちが、とても心配してね、
『あんた、気をつけなさいよ、
あの男…アンタを狙っているわよ』と注意してくれるようになったの」
ポツリポツリと思い出すように言う。
するとそれまで黙っていたクマガイさんが、いつの間にか近くに来ていて
「それは、厄介だねぇ。
本人は、まったく悪気はなさそうだ。
誰かに相談した?」
すっと椅子を引くと、待子たちの近くに腰をかけた。
佐伯さんは大きく頭を振ると、
「だって、お客さんなんですもん!
もしかしたら、本当に…偶然かもしれないし…
気のせいかもしれないし…」
そう言いつつも、困ったように、眉をへの字にしてみせた。
どこまでも、認めない佐伯さんに、待子はつい口をはさみたくなる。
「ホント、お人よしだなぁ~
そんなワケ、あるわけないじゃない!」
ぶっきらぼうに、怒ったように言う。
「佐伯さんはね、お嬢さんだから…疑ったりしないのね」
待子ははぁ~とため息をついた。
「あの時は、親切な人だなぁ~くらいの想いしかなかったんだけどね」
どこであんな風になったのか、わからない…と佐伯さんはつぶやく。
「キッカケはなに?」
待子が横顔に向かって聞いても、
「なんだろう?特にないと思うけど…」
浮かない顔をする。
「キッカケは覚えていないんだけどね、仕事が終るタイミングを見計らって…
よくお店の裏口で、待ち伏せするようになったのよ」
考えこむように、虚空を見上げる。
「初めはね、たまたま一緒になったのかなぁと思っていたの。
わりと近所に住んでいるらしい…というので、近くまで一緒に
帰ったこともあるの。
そのうちにね、あんまりにも毎日来るようになったから、
パートのおばさんたちが、とても心配してね、
『あんた、気をつけなさいよ、
あの男…アンタを狙っているわよ』と注意してくれるようになったの」
ポツリポツリと思い出すように言う。
するとそれまで黙っていたクマガイさんが、いつの間にか近くに来ていて
「それは、厄介だねぇ。
本人は、まったく悪気はなさそうだ。
誰かに相談した?」
すっと椅子を引くと、待子たちの近くに腰をかけた。
佐伯さんは大きく頭を振ると、
「だって、お客さんなんですもん!
もしかしたら、本当に…偶然かもしれないし…
気のせいかもしれないし…」
そう言いつつも、困ったように、眉をへの字にしてみせた。
どこまでも、認めない佐伯さんに、待子はつい口をはさみたくなる。
「ホント、お人よしだなぁ~
そんなワケ、あるわけないじゃない!」
ぶっきらぼうに、怒ったように言う。
「佐伯さんはね、お嬢さんだから…疑ったりしないのね」
待子ははぁ~とため息をついた。
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