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第15章 いのち短し 恋せよ乙女?
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「でも その人…なんでキミの家を知っているのかなぁ」
突然クマガイさんが、口をはさむ。
待子も大きくうなづくと、佐伯さんに注目した。
「あ、あぁ~」と彼女は口ごもると、
「実はねぇ」
急に小さな声になった。
「雨の日にね、家に帰ろうとした時に、傘をね忘れてしまって…
例によって、あの人が待ち構えていたの」
ポツリポツリと思い出すように、佐伯さんは言う。
「傘を貸してあげましょうって言われて。
でもよく知らない人だし、断ったら、
じゃあ送ります、と言われて、しかたなくて…
途中まで送ってもらったんだけど、
思えばあれが、いけなかったんだよねぇ」
気の弱そうな顔つきで、ますます佐伯さんはうつむく。
「じゃあ、つけられた、ってことだね?」
ボソリとクマガイさんが言うと、
「うーん」と困ったようにうなる。
「仕方がないよねぇ~
振り切って、自転車で帰ればよかったんだろうけどねぇ~」
くやしそうに待子が言う。
あんなに近くにいながら、気づかなかった自分のうかつさに。
こうなるまで知らなかった、自分の鈍さに…
するとクマガイさんは、腕組みをしたまま
「いや、うかつに断ると…
あとが厄介だよなぁ」とボヤく。
するといきなり待子は
「でもさぁ、その人、仕事はどうしてるの?」
急にあることに気付いて、待子はつい、声が大きくなった。
だがそれにも気付かないのか、
「まさか、働いていないの?」
ふいに待子が言う。
「さぁ~」
さっき見た限りでは、30代くらいの、フリーターのような印象だった。
「話したこと、ないの?」
「うーん。仕事中だしねぇ~
ほんの一言、二言よ」
困ったように、佐伯さんは言った。
突然クマガイさんが、口をはさむ。
待子も大きくうなづくと、佐伯さんに注目した。
「あ、あぁ~」と彼女は口ごもると、
「実はねぇ」
急に小さな声になった。
「雨の日にね、家に帰ろうとした時に、傘をね忘れてしまって…
例によって、あの人が待ち構えていたの」
ポツリポツリと思い出すように、佐伯さんは言う。
「傘を貸してあげましょうって言われて。
でもよく知らない人だし、断ったら、
じゃあ送ります、と言われて、しかたなくて…
途中まで送ってもらったんだけど、
思えばあれが、いけなかったんだよねぇ」
気の弱そうな顔つきで、ますます佐伯さんはうつむく。
「じゃあ、つけられた、ってことだね?」
ボソリとクマガイさんが言うと、
「うーん」と困ったようにうなる。
「仕方がないよねぇ~
振り切って、自転車で帰ればよかったんだろうけどねぇ~」
くやしそうに待子が言う。
あんなに近くにいながら、気づかなかった自分のうかつさに。
こうなるまで知らなかった、自分の鈍さに…
するとクマガイさんは、腕組みをしたまま
「いや、うかつに断ると…
あとが厄介だよなぁ」とボヤく。
するといきなり待子は
「でもさぁ、その人、仕事はどうしてるの?」
急にあることに気付いて、待子はつい、声が大きくなった。
だがそれにも気付かないのか、
「まさか、働いていないの?」
ふいに待子が言う。
「さぁ~」
さっき見た限りでは、30代くらいの、フリーターのような印象だった。
「話したこと、ないの?」
「うーん。仕事中だしねぇ~
ほんの一言、二言よ」
困ったように、佐伯さんは言った。
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