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scene 1 12時の鐘が鳴り終わる前に

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 それは・・・夢のような光景で・・・
むしろ、夢としか思えない景色でした。
目の前に、七色の光を放つ不思議な空間が広がり、
エラは一瞬、それがあの世の世界なのでは?と思ったのです。
頬をつねると・・・痛い!
夢じゃないのね、幻でもないのね?と・・・
まるで光の中を歩いているようです。
フワフワと頼りなくて、非現実的で。
虹の中は、こんなものなのだろうか?
と思うくらいで、そのトンネルが切れるのを、待ち
ました。
いや・・・ホントは、途切れてしまうのを、恐れて
いたのかもしれません。
エラは、しばしそこを通り抜けるのを、怖がって
居ましたがなぜか魔法で御者に変装していた
ネズミたちが、その光の集まる場所へ、一目散で
駆けて行くので、エラもつられて、近付いて行きます。
とにかく、あまりに美しいので、まるで魅入られているみたいです。
日頃のうさも、忘れてしまうくらいに。

 光にたかる虫のように、近付いて見ると、その
光は、ときに虹のように辺りを照らします。
光に吸い寄せられるように近付くと・・・その光は
虹のように、辺りをこうこうと照らし、思わず
にじるように近付きます。
すると、いきなりカッ!と光源が強くなり、
まばゆい光に目がくらんだ後、辺りが白く光り輝き・・・
あっという間に、それはグニャリと周りが光に
溶け込んで・・・
あまりのまぶしさに、エラはめまいに襲われて、
白く溶けるように・・・意識を失いました。
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