上 下
88 / 370
Scene 4 合い言葉はビビデバビデブー

21

しおりを挟む
  ずいぶんいいことばかり、並べ立てているようで、かなりうさんくさんも見えます。この格好では、信用が出来ません。
エラはとりあえず、少しだけ付き合うことにしました。
こんなところを、カスミが見たら、
なんと言うことでしょう。
なんとなく、どこかへ連れて行かれるようで、いつもならついて行ったりしないのに…まるで、魅入られる
ようにして、トコトコと、歩き始めました。
心の中では、やはり、警戒心ももちろん、ありました。
だけど、このままだと、一歩も進めない…と思ったのか。
抵抗はあるものの、あわてて後をついて行きます。
ほんの少し、不安はあるのだけれど。
よからぬところへ、連れて行かれるのでは?と、いつでも逃げ出せる体勢になろうとしたのですが…
怪しまれるとマズイ!と思い、ひとまず
おとなしくついていく振りをした。
かなり神経をすり減らして、着いていったけれども……
ついてみれば、ごくごく、普通の民家ようなところだった。
ますます、怪しい…
エラは少し不安を覚えます。
この世界にきて、まだ数日だけれど、あまりに、様々な人が声をかけてくるので、すっかり警戒することを、覚えました。昔のエラならあり得ないことです。      
礼美と名乗った女性は、エラの様子に気づくことなく、慣れた様子で
チャイムを鳴らすと…
「いらっしゃーい」
という声と共に、目の前のドアが開きました。
しおりを挟む

処理中です...