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Scene12  シンデレラはガラスの靴をはいて

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  一人きりになると、エラはゆっくりと、ソファーに横になりました。
とにかく少しでも、休まなくては…と思うのですが、なんだか興奮状態
なのか、落ち着いて目を閉じてはいられません。
ぽっかりと目をあけると、ぼんやりと天井を見つめました。
ジワジワと体の疲れを感じていると…
今日は色んなことがあったなぁと、思い返します。
人形劇の公演があったり、靴を掘り返しに行ったり、
みんなで打ち上げをしたり…
あれやこれやと思い返すと、眠れそうもありません。
いよいよこれが、最後の夜なのか…と思うと、興奮して余計に
目がさえてきます。
すごく体は疲れているのに、頭がハイテンションのまま…
実は昨日も眠れなかったので、本当はひどく眠たいはずなのに、
このままだと、そのまま朝までいけそうな…そんな気がしてきます…
いよいよ、あと数時間で、良くも悪くも運命が決まる…
そう思うと、ますます神経がたかぶって、眠ってなどいられません…

 体を起こすと、カバンから、昨日掘り出してきた、ガラスの靴を
取り出すと…胸に抱いて、再び横になり、じぃっと天井を
見上げています。
そうやっているうちに…いつの間にかうとうとと、まどろんでいたようです。
しん…と静まり返った部屋に、パッパーと車のクラクションの音が
響いてきました。
(あれ?今、何時?)
 エラはあわてて飛び起きると、そのまま寝たので、クシャクシャになった
服のすそを、整えました。
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