シンデレラの娘たち

daisysacky

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第3章 夢のカケラ

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 小屋に近付くと、何かがキラキラと光るのを感じて、ジュンヤは思わず
「おっ」と声をもらす。
(あの小屋…何があるんだ?)
鏡かライトでも、中にあるのか?
それとも、反射するものがあるとか?
(ミラーハウスとか?)
だが、それにしては、やけに小さい。
昔…遊園地で、鏡張りの家に入って、方角がわからなくなったことがある…
ジュンヤは、思い出していた。

(あれは、誰だっけ?)
 確か、あの時は、一人ではなかったような、気がする。
(誰と一緒だった?)
母さんではなく、とっても大好きで、優しい人だったような気がする。
(あれって、誰だっけ?)
いつも一緒にいた人…
でも、情けないことに、まったく思い出せない。
それが何だか、苦しくて悲しい。
(どうして?)
歯痒い気持ちで、その小屋に向かって近付く。

「ねぇ、ジュンヤくん!
 見て!とってもきれいよぉ」
 中から、柚のはしゃぐ声が聞こえる。
(相変わらず、元気だなぁ)
彼は、ちょっとホッとする。
 柚は迷子の割りには、ちっともメソメソしてはいない。
(ずいぶん、強い子だなぁ)
 小さいのに、偉いなぁ~
感心しながら、入り口に近付く。
 小さな小屋の割りには、思ったよりも、しっかりとした造りになっている。
しかも、子供の遊ぶ家にしては、ずいぶん立派なものだ。
「すごいなぁ」
思わずそうつぶやくと、柚はヘラリと笑った。
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