ダンナ様はエスパー？

第2章 謎の隣人VSお姑さん！

９

「ホント、ごめんね。
　あの人は、マイペースだからねぇ」
　帰って来るなり、久志はいたわるような目をして、灯里に言う。
「アカリちゃんがイヤなら、うちに来るの、断るからね！
　母さんにビシッと、アカリにも都合がある、って言うのを、
　よく言っとかないといけないなぁ～」
そんな風に、言ってくれる彼には…
感謝の言葉しか思いつかない。

「あっ、久志さん、、いいの！大丈夫だから…」
思わずツルッと言葉が出た。
だが彼は、微笑みながら灯里を見ると
「いいよ、無理しなくても。
　あの人…周りが見えなくなるからなぁ」
　優しく彼はそう言うと…
ポンポンと子供のように、灯里の頭を撫でてくれる…
仕事で、疲れている、というのに。
彼に対して、申し訳ない気持ちで、一杯になる。
自分のことまで、心配かけてはいけない、そう思うのが
やっとだった。
（私って、なんてワガママなんだろう）
彼に対して、申し訳ない想いで、一杯だった。


「アカリちゃん、ごめんねぇ～
　久志に怒られちゃったのよぉ」
早速　翌日、何の前触れもなく、当の本人が尋ねてきた。
一瞬「えっ」と驚くけれど…
来てしまったからには、仕方がない…
灯里はあわてて洗濯物を干すと、バタバタと散らばっているものを、
拾い集めた。
（ヤバイ！本当に来ちゃった）
　それにしても、久志さんは、何と言ったのだろう…
きちんと断ると言っていたはずなのに、
昨日の今日で、来るなんて…と、内心灯里は、焦っていた。